白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
Tue 03 , 23:27:42
2007/07
いつの日か、もう一度会えたらいい。
そう、願っている――
こんな日には、オビトはよく遅刻してた。
澄み渡った空を眺めながら思った。
「だーかーらー、オレが悪かったって言ってるだろうが!」
「何それ。それで謝ってるつもり?」
「思いっきり、どこからどう見ても謝ってるだろう!?」
「…ふーん。…別に、いいけど」
「言いたいことがあるならはっきり言えよ!」
「べっつにぃ~」
オビトは今日は1時間と17分も遅刻した。たいした任務じゃなかったから別に被害はなかったんだけど、このバカのせいで1時間と17分、時間を損したと思うと腹が立つ。
「まあまあ、カカシ。そのくらいで勘弁してあげなよぅ」
「ん!細かいところにはこだわるな。で、オビト。今日はどうして遅刻したのかな?」
先生とリンはにこにこ笑いながらオレたちのやり取りを見ていたけど、流石に見かねたのか割って入ってきた。
「え~っとぉ…」
「ん?」
「その…」
「さっさと言えよ」
「うるせえな!今、言おうとしてたんだよ!」
「もう、オビトもカカシも、いちいち喧嘩しないで」
「…ごめん」
「で?」
「天気が…よかったから、ちょっとぼーっとしてたら…」
「まさか…」
「うっかり、寝ちまって………………おきたら、集合時間1時間過ぎてた…」
「………」
「………」
「………」
三者三様の無言。
やっぱり、これはオレの怒りも正しいのではないだろうか。リンもものすごく呆れた、っていう顔してる。先生は…何を考えてるんだろう?なんか、嫌な予感…。
「よし!」
「…」
「今日は、みんなで布団を干そうか!」
「はぁ!?」
「で、その布団でオレの家でお泊り会をしよう!お日様の匂いの布団、気持ちいいよ~」
先生の提案は、いつも唐突だ。
オレたちは三人そろってぽかん、と間抜け面を晒していた。
「じゃあ、みんな布団もって、30分後にオレの家に再集合ね」
にっこり。
機嫌のいい猫みたいな顔で笑って、先生はオレたちの返事を聞かずに姿を消してしまった。
「えっとー…」
「布団もって行くって…布団って、結構重いよね」
「うん。それに…布団かついで里の中を行くの?」
「かっこわ…」
「それ以上言うな。悲しくなるから」
「…ごめん」
「…」
「…」
「…」
「「「はぁ…」」」
ため息をつきながらも、オレたちは多分、うきうきしてた。
先生が子どもみたいなことをいきなり言い出すのは珍しくなかった。最初は呆れながらそれに乗って…気がつけば、4人で思い切り笑いあっている。
まだまだ“子ども”と呼ばれる年齢でありながら既に忍として裏の社会を見ているオレたちにとって、そんな当たり前の子どもたちのような出来事は、何よりの幸福だったのだと思う。先生はそこまで考えてオレたちにこういう機会をくれているのか、それとも自分がそうしたいからするのかわからないが――おそらく、両方だと思うけど――オレたちは心から楽しんでいた。
本当は何気ないはずのこんな日常ははオレたちにしてみれば全然何気なくないし日常でもなくてすごく特別なことなんだけど、でも、先生は当たり前のようにオレたちにそれをくれるから、オレたちも当たり前のような顔をして受け取っていた。
笑いあうオレたちを見て、一緒に笑いながら、先生はとても幸せそうだった。
だから…
「まあ、布団かついで道を行く恥くらい…どうってこと…どうってこと…」
「あるよな」
「うん」
「…裏道通っていこうか」
「うん」
「さんせーい」
まあ、流石に遠い目になってしまうのは…しょうがないけれど。
いつの日にか、あんなにも幸福な時間を共に過ごした彼等ともう一度会えることを願っている。
それは、オレが生きている限りはムリなことなのだろう。
でも、いつか…いつか、オレが天寿を全うして、しわくちゃのおじいさんになって、老衰で死んだら、彼等はきっと笑って受け入れてくれる。
『おまえ、しわくちゃのじじいになったなぁ』
なんて笑いながら、受け入れてくれるはずだから。
だから、オレもその日が来たら笑って言うよ。
『永遠のガキに言われたくないよ』
そう、願っている――
こんな日には、オビトはよく遅刻してた。
澄み渡った空を眺めながら思った。
「だーかーらー、オレが悪かったって言ってるだろうが!」
「何それ。それで謝ってるつもり?」
「思いっきり、どこからどう見ても謝ってるだろう!?」
「…ふーん。…別に、いいけど」
「言いたいことがあるならはっきり言えよ!」
「べっつにぃ~」
オビトは今日は1時間と17分も遅刻した。たいした任務じゃなかったから別に被害はなかったんだけど、このバカのせいで1時間と17分、時間を損したと思うと腹が立つ。
「まあまあ、カカシ。そのくらいで勘弁してあげなよぅ」
「ん!細かいところにはこだわるな。で、オビト。今日はどうして遅刻したのかな?」
先生とリンはにこにこ笑いながらオレたちのやり取りを見ていたけど、流石に見かねたのか割って入ってきた。
「え~っとぉ…」
「ん?」
「その…」
「さっさと言えよ」
「うるせえな!今、言おうとしてたんだよ!」
「もう、オビトもカカシも、いちいち喧嘩しないで」
「…ごめん」
「で?」
「天気が…よかったから、ちょっとぼーっとしてたら…」
「まさか…」
「うっかり、寝ちまって………………おきたら、集合時間1時間過ぎてた…」
「………」
「………」
「………」
三者三様の無言。
やっぱり、これはオレの怒りも正しいのではないだろうか。リンもものすごく呆れた、っていう顔してる。先生は…何を考えてるんだろう?なんか、嫌な予感…。
「よし!」
「…」
「今日は、みんなで布団を干そうか!」
「はぁ!?」
「で、その布団でオレの家でお泊り会をしよう!お日様の匂いの布団、気持ちいいよ~」
先生の提案は、いつも唐突だ。
オレたちは三人そろってぽかん、と間抜け面を晒していた。
「じゃあ、みんな布団もって、30分後にオレの家に再集合ね」
にっこり。
機嫌のいい猫みたいな顔で笑って、先生はオレたちの返事を聞かずに姿を消してしまった。
「えっとー…」
「布団もって行くって…布団って、結構重いよね」
「うん。それに…布団かついで里の中を行くの?」
「かっこわ…」
「それ以上言うな。悲しくなるから」
「…ごめん」
「…」
「…」
「…」
「「「はぁ…」」」
ため息をつきながらも、オレたちは多分、うきうきしてた。
先生が子どもみたいなことをいきなり言い出すのは珍しくなかった。最初は呆れながらそれに乗って…気がつけば、4人で思い切り笑いあっている。
まだまだ“子ども”と呼ばれる年齢でありながら既に忍として裏の社会を見ているオレたちにとって、そんな当たり前の子どもたちのような出来事は、何よりの幸福だったのだと思う。先生はそこまで考えてオレたちにこういう機会をくれているのか、それとも自分がそうしたいからするのかわからないが――おそらく、両方だと思うけど――オレたちは心から楽しんでいた。
本当は何気ないはずのこんな日常ははオレたちにしてみれば全然何気なくないし日常でもなくてすごく特別なことなんだけど、でも、先生は当たり前のようにオレたちにそれをくれるから、オレたちも当たり前のような顔をして受け取っていた。
笑いあうオレたちを見て、一緒に笑いながら、先生はとても幸せそうだった。
だから…
「まあ、布団かついで道を行く恥くらい…どうってこと…どうってこと…」
「あるよな」
「うん」
「…裏道通っていこうか」
「うん」
「さんせーい」
まあ、流石に遠い目になってしまうのは…しょうがないけれど。
いつの日にか、あんなにも幸福な時間を共に過ごした彼等ともう一度会えることを願っている。
それは、オレが生きている限りはムリなことなのだろう。
でも、いつか…いつか、オレが天寿を全うして、しわくちゃのおじいさんになって、老衰で死んだら、彼等はきっと笑って受け入れてくれる。
『おまえ、しわくちゃのじじいになったなぁ』
なんて笑いながら、受け入れてくれるはずだから。
だから、オレもその日が来たら笑って言うよ。
『永遠のガキに言われたくないよ』
PR
COMMENT
カレンダー
02 | 2025/03 | 04 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ||||||
2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 |
30 | 31 |
カテゴリー
フリーエリア
最新記事
(12/10)
(08/20)
(07/24)
(06/25)
(05/01)
(04/28)
(04/17)
(04/15)
(03/05)
(03/04)
最新TB
プロフィール
HN:
静
性別:
女性
職業:
学生
趣味:
読書、昼寝
自己紹介:
更新はまったり遅いですが、徒然なるままに日記やら突発でSSやら書いていく所存ですのでどうぞヨロシク。
ブログ内検索
最古記事
(06/17)
(06/18)
(06/19)
(06/29)
(07/01)
(07/02)
(07/03)
(07/04)
(07/08)
(07/09)