白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
Tue 31 , 18:30:38
2007/07
恋なんてものは、落とし穴のようにある日突然落ちるものなのだろうか。
それとも、坂道を下っていくように気がつけば落ちているものなのだろうか。
わからないけれど、それでもオレたちはその日、初めて互いを異性として認識した。
「危ないっ」
と言って、危機から庇うように抱き寄せたら、その身体は思っていたよりもずっと細くて、腕の中に納まってしまうほどだった。
任務中であったからすぐに腕を放して、その一瞬の驚きのことなんてすっかり忘れてしまったのだが。
今、どうして自分は彼女を抱きしめているのだろう。
否、どうして彼女は自分に抱きついてきたのだろう。
別に、今更照れるような間柄ではないし(何せ、ガキのころには一緒に風呂に入っていた記憶まである)かまわないといえばかまわないのだが、ほかの誰かに見られたら外聞が悪いのではないだろうか。
「あ、やっぱり」
「…何が」
「シカマル、大きい」
「ああ?」
「だって、さっき…庇ってくれたときにね、なーんか、シカマルが大きく感じたの。で、任務中で危ないときだったから頼もしく感じたのか、実際にシカマルのほうが大きいのか、確かめてみたかったんだけど…」
「で?」
「やっぱり、シカマルも男の子なんだね」
「おまえはオレをいったいなんだと…」
いのは、少し悔しそうにオレを見上げる。そういえば、身長も随分差ができている。いののほうが背が高かった時期もあったのに。なんとも色気のない理由ではあるが、抱き合っているために普段は目に付かないようなところが見える。
(首筋、細い。色、白い。うなじが…。あ、なんかいいにおいするし)
「おまえも、そういえば女なんだよな」
「何よ、それ。失礼ね」
「おまえもさっきおんなじ様なこと言ってただろうが」
「あたしはいいの」
「どういう理屈だ」
「女の子の理屈よ」
「わけわかんねえし」
中身なんて、ガキのころから大して変わんないのに。
オレたちの距離だって、ガキのころから大して変わんないのに。
「あーーー!!!!」
「んだよ…ナルトか」
「あ、サクラもいる」
うるさい叫び声のしたほうへ顔を向ければ、見慣れた金髪が目に入った。その隣にはサクラもいる。
「な、な、な、な」
「“な”?」
「なんで、あんたたち抱き合ってんのよーーー!!!!!」
「へ?」
「…」
「…」
別に、他意はなかったのだけれど。
それでも、確かにこの格好は端から見れば“そういうこと”なわけで。
「「!」」
急いで、離れた。
「べ、別に、シカマルとそういうことってわけじゃなくって、単に、シカマルが大きくなったな、って!」
「あんたたち、いつもそうやって比べてるわけ?」
「別に、いつもやってるわけじゃなくって!今日はたまたま…」
「ふーん?」
「あー…本当にびっくりしたってばよ」
「なんで」
「シカマルといのが付き合ってるんだと思ったってば」
「は?」
「そうそう、そうとしか見えなかったわよ。こんなところで二人きりでしっかり抱き合って…」
「…誤解を招くような言い方をするな」
「だって、そうとしかいえないわよ」
「はぁ…」
「でもね、なんか…意外にお似合いだったわよ?」
「…」
結局、その後4人で団子を食ってから帰ったわけなんだが。
ナルトとサクラの発言で、ようやくオレたちは互いが男と女であると言うことに気づいた。
つまり、恋愛対象になり得る存在である、ということ。
茶屋でのいのの態度は明らかに普段とは違っていた。ちょっと手が触れただけでも、大げさなくらいにばっと手を引く。なるべく目をあわせようとしない。飛んできた葉っぱが髪についてたからとってやったら、一気に顔を真っ赤にする。
そんな反応は新鮮で面白かったんだけれども。
「あれ、シカマル、なんか顔赤いってばよ」
オレも人のことをとやかく言えるような状態ではなかったらしい。
さて、これから先、また今までのように性別の関係ない幼馴染として付き合っていくのか、それとも今日気づいてしまった男と女という性別の違いを意識した付き合いになるのか、はたまた離れていってしまうのか。
色々考えるのはめんどくさいから、とりあえずは相手の出方に任せようと思う。
それとも、坂道を下っていくように気がつけば落ちているものなのだろうか。
わからないけれど、それでもオレたちはその日、初めて互いを異性として認識した。
「危ないっ」
と言って、危機から庇うように抱き寄せたら、その身体は思っていたよりもずっと細くて、腕の中に納まってしまうほどだった。
任務中であったからすぐに腕を放して、その一瞬の驚きのことなんてすっかり忘れてしまったのだが。
今、どうして自分は彼女を抱きしめているのだろう。
否、どうして彼女は自分に抱きついてきたのだろう。
別に、今更照れるような間柄ではないし(何せ、ガキのころには一緒に風呂に入っていた記憶まである)かまわないといえばかまわないのだが、ほかの誰かに見られたら外聞が悪いのではないだろうか。
「あ、やっぱり」
「…何が」
「シカマル、大きい」
「ああ?」
「だって、さっき…庇ってくれたときにね、なーんか、シカマルが大きく感じたの。で、任務中で危ないときだったから頼もしく感じたのか、実際にシカマルのほうが大きいのか、確かめてみたかったんだけど…」
「で?」
「やっぱり、シカマルも男の子なんだね」
「おまえはオレをいったいなんだと…」
いのは、少し悔しそうにオレを見上げる。そういえば、身長も随分差ができている。いののほうが背が高かった時期もあったのに。なんとも色気のない理由ではあるが、抱き合っているために普段は目に付かないようなところが見える。
(首筋、細い。色、白い。うなじが…。あ、なんかいいにおいするし)
「おまえも、そういえば女なんだよな」
「何よ、それ。失礼ね」
「おまえもさっきおんなじ様なこと言ってただろうが」
「あたしはいいの」
「どういう理屈だ」
「女の子の理屈よ」
「わけわかんねえし」
中身なんて、ガキのころから大して変わんないのに。
オレたちの距離だって、ガキのころから大して変わんないのに。
「あーーー!!!!」
「んだよ…ナルトか」
「あ、サクラもいる」
うるさい叫び声のしたほうへ顔を向ければ、見慣れた金髪が目に入った。その隣にはサクラもいる。
「な、な、な、な」
「“な”?」
「なんで、あんたたち抱き合ってんのよーーー!!!!!」
「へ?」
「…」
「…」
別に、他意はなかったのだけれど。
それでも、確かにこの格好は端から見れば“そういうこと”なわけで。
「「!」」
急いで、離れた。
「べ、別に、シカマルとそういうことってわけじゃなくって、単に、シカマルが大きくなったな、って!」
「あんたたち、いつもそうやって比べてるわけ?」
「別に、いつもやってるわけじゃなくって!今日はたまたま…」
「ふーん?」
「あー…本当にびっくりしたってばよ」
「なんで」
「シカマルといのが付き合ってるんだと思ったってば」
「は?」
「そうそう、そうとしか見えなかったわよ。こんなところで二人きりでしっかり抱き合って…」
「…誤解を招くような言い方をするな」
「だって、そうとしかいえないわよ」
「はぁ…」
「でもね、なんか…意外にお似合いだったわよ?」
「…」
結局、その後4人で団子を食ってから帰ったわけなんだが。
ナルトとサクラの発言で、ようやくオレたちは互いが男と女であると言うことに気づいた。
つまり、恋愛対象になり得る存在である、ということ。
茶屋でのいのの態度は明らかに普段とは違っていた。ちょっと手が触れただけでも、大げさなくらいにばっと手を引く。なるべく目をあわせようとしない。飛んできた葉っぱが髪についてたからとってやったら、一気に顔を真っ赤にする。
そんな反応は新鮮で面白かったんだけれども。
「あれ、シカマル、なんか顔赤いってばよ」
オレも人のことをとやかく言えるような状態ではなかったらしい。
さて、これから先、また今までのように性別の関係ない幼馴染として付き合っていくのか、それとも今日気づいてしまった男と女という性別の違いを意識した付き合いになるのか、はたまた離れていってしまうのか。
色々考えるのはめんどくさいから、とりあえずは相手の出方に任せようと思う。
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更新はまったり遅いですが、徒然なるままに日記やら突発でSSやら書いていく所存ですのでどうぞヨロシク。
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