いろいろ発掘

部屋の掃除をしていたらネタメモがわんさか出てきました。あまりにも古すぎて大半は捨てましたが、「これならまぁ…」くらいのものはサルベージしてみようかと思います。
というわけで、追記よりサルベージ小話その①。
現代で、片倉先生と高校生な政宗様です。未成年の喫煙ダメ・絶対。

「おい、伊達」
「げ、片倉センセー」
　授業をサボって煙草を吸っているところを見つかってしまった。やばい、停学だろうか、と考えている俺を尻目に片倉先生はどっかりと隣に腰を下ろした。
「一本よこせ。そうしたら見逃してやる」
「…いいのかよ」
「俺のは切れてるんだ。この際、銘柄にはこだわらん」
「いや、そうじゃなくて」
とがめないのか、と言うと先生はニヤリと笑った。
「吸うなとは言わんが、やるならもっとうまくやれ」
「俺は驚いて目をぱちぱちさせた。こんなのが教師でいいのだろうか。いや、でも授　授業はわかりやすいし、生徒の相談にも親身に乗ってくれる（らしい）し、保護者からも教師間でも、生徒からも評判はいい。強面過ぎて、皆、最初はヤのつく自由業の人かと怯えるらしいが、それさえなければかなり上等な部類に入る教師だ。
　この人、絶対若い頃は不良だったんだろうなー、と思いながらポケットをあさり、探り当てた箱を投げ渡した。
「おい」
「あとちょっとしかねえから、全部やる。…此処、今まで見つかったことなかったんだけど」
「そうか」
「あーあ、結構気に入ってる場所だったんだけどな」
「じゃあ、またこればいいだろ」
「見つかっちまったし」
　ため息と一緒に煙を吐き出す。青空に白い雲、そこにふわりと浮かぶ紫煙はなかなか悪くない光景だ。
「とか言いつつ、火は消さねえのか」
「だって、つけたばっかだし、もったいねえだろ」
　見逃してくれるんだ、そう言うと先生は呆れた顔をした。
「いつから吸ってるんだ」
「…中３くらい」
「うまいか？」
「まずい」
「じゃあ、なんで」
「Tranquilizer」
「精神安定剤、か。いい傾向じゃねえな」
「わかってる。でも、手放せなくなってな」
「ガキが」
　そう言う先生は、煙草を吸い慣れているんだろう、火をつける仕草も、煙草を持つ手つきも、堂に入っていてかっこいい。
（こいつ、顔はけっこうtypeなんだよなぁ）
　そういう趣味はねえけど、と慌てて心のうちでつけ加える。単純に、顔のつくりの問題だ。
「…ガンになるぞ」
「Ha！煙草は発ガン率を上げるだけで、必ずなるわけじゃねえよ。誰にでもある可能性がちっとばかりあがるだけだ」
「口の減らないガキめ」
「第一、吸ってるあんたに言われたくねえよ」
「まあな」
　煙を吐き出しながら少し考える仕草をした先生は、いいことを思いついたとばかりにニヤリと笑った。反射的に少し身を引くが、先生は気にした風もなく俺を見る。
「伊達」
「え？」
　煙草を取り上げられて、目の前には先生のアップ。信じられないくらいの至近距離、状況を認識するより早く、先生が動いた。
「ん…ふ、ぁ…」
　逃げたくても、いつの間にか頭の後ろの先生の手が添えられていて、逃げられない。どういう状況なんだ、これは。
（っつーか、こいつ…キス、うますぎるだろ）

「おまえが煙草を吸うのを見つけたら、そのたびにキスしてやるよ」
　ペナルティーだ。
　そう言って、先生はひどく男くさい顔で笑った。腰がくだけて顔も真っ赤に成りながら、俺は先生をにらむしかない。
（これがFirst kissだったなんて、死んでも知られなくねえ…！）






こんな感じで始まるこじゅまさはいかがでしょうか。悪い先生片倉×不良のくせに純情まー様。