白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
Tue 07 , 01:11:29
2012/02
某映画の台詞から、サナダテ小ネタを妄想してみたので投下します。
我が家のサナダテはお互いにお互いを愛しすぎてどうすればいいのかわからなくなってる傾向がありますね。というか、主に政宗様が迷走してぐだぐだ悩んでいる気が…。それを受け止めて受け入れて強引に自分に目を向けさせる真田は男前でやばいと思います。
我が家のサナダテはお互いにお互いを愛しすぎてどうすればいいのかわからなくなってる傾向がありますね。というか、主に政宗様が迷走してぐだぐだ悩んでいる気が…。それを受け止めて受け入れて強引に自分に目を向けさせる真田は男前でやばいと思います。
(国のこととか、将来のこととか、自分たちの立場とか考えたら怖くなって、「別れよう」と言った政宗様と、いろいろなリスクやなんかはわかっているけれど、それでもどうしようもなく政宗様を愛して求めている真田)
「政宗殿」
二人きりの部屋に、幸村の声は低く響いた。俯いて唇を噛んでいた政宗はびくりと肩を震わせ、その瞬間、腕をつかまれた。
「…手を離せ、真田幸村」
政宗の両側の壁につかんだ腕を押し付けられ、息のかかるほど近くでぎりぎりとにらまれる。反射的に蹴り上げようとするが、それよりも早く膝を割られて幸村の足が入り込んでくる。どうにか抜け出そうともがいてみせるが、単純な力比べでは政宗は幸村にかなわない上に、今の体制ではどう考えても幸村の方が有利だ。逃げ出せるわけもなく、政宗にできる唯一の抵抗は痛いほどの視線から逃げるように目を逸らすことだった。
「離しませぬ」
強い意思をこめた、声だった。
「っ、真田っ!」
「離せませぬ」
「俺は、もうお前とは…」
意図せずにかすれた声に、内心舌打ちする。ポーカーフェイスは苦手なほうではないというのに、この男の前ではうまくいかない。
「目を見てくだされ」
「…っ」
「目を見て、言えるものなら言ってくだされ」
視線が、痛い。いくさばで感じるそれに似た、強く痛い視線だ。だが、今、政宗はその目が怖かった。臆病な心を見透かされそうで、怖い。常ならば、幸村にそんな目で見られても興奮するだけなのに、と自嘲するふりで、恐れる心を鎮めようとしたが、うまくいかない。
「何、を…」
「某を、愛していないと」
常より低く潜められた声が、見えない刃となって心を貫く。びくりと震えて顔を上げた、政宗の負けだった。視線を絡められ、唯一の抵抗手段を奪われた。
「どうか、某の目を見てくだされ」
夜の帳はすべての音を包み、政宗には幸村の声しか聞こえない。決して大きな声ではないというのに、どうしてこんなに響くのだろう。政宗の、心に、頭に。
「そして、言えるものなら言ってくだされ、愛していない、と」
「…」
「その言葉を聞いたのなら、某は出て行きましょう」
強く、低く、確信を持った声。
「さな、だ…」
「そなたの…人生から」
どこもかしこも暗闇で、そういえば今日は月の無い夜だったとふと場違いに思い至った政宗は、その暗さの中でも至近距離で見つめた幸村の瞳だけは輝いていて、すべての力を抜いた。
「政宗殿!?」
不意にくずおれた政宗を、慌てて抱きとめた幸村は、ずるずるとしゃがみこんだ政宗の手を、それでも離しはせず、逃げ出す余裕すら与えなかった。
「…あんたは、………ずるい」
「政宗殿…」
「俺が、…そんなこと、言えないと、知って…」
それから先は、嗚咽に阻まれて言葉にならなかった。
己の心も、言葉も、何もかもままらななくて口惜しくて、幸村の腕の中で政宗は声を殺して泣くことしかできなかった。
まあ、政宗様なら「愛してない」とか言って強がっちゃうと思いますけどね。で、去っていく幸村の背中をぼんやりと見つめて、見えなくなったところでようやく泣くくらいですかね。いや、「愛してない」って言ったあとに、俯き加減で足早に幸村の横をすり抜けていくとか。弱い政宗様もいいけど、自分ではどうしようもないところまで強がっちゃう政宗様も素敵です。
「政宗殿」
二人きりの部屋に、幸村の声は低く響いた。俯いて唇を噛んでいた政宗はびくりと肩を震わせ、その瞬間、腕をつかまれた。
「…手を離せ、真田幸村」
政宗の両側の壁につかんだ腕を押し付けられ、息のかかるほど近くでぎりぎりとにらまれる。反射的に蹴り上げようとするが、それよりも早く膝を割られて幸村の足が入り込んでくる。どうにか抜け出そうともがいてみせるが、単純な力比べでは政宗は幸村にかなわない上に、今の体制ではどう考えても幸村の方が有利だ。逃げ出せるわけもなく、政宗にできる唯一の抵抗は痛いほどの視線から逃げるように目を逸らすことだった。
「離しませぬ」
強い意思をこめた、声だった。
「っ、真田っ!」
「離せませぬ」
「俺は、もうお前とは…」
意図せずにかすれた声に、内心舌打ちする。ポーカーフェイスは苦手なほうではないというのに、この男の前ではうまくいかない。
「目を見てくだされ」
「…っ」
「目を見て、言えるものなら言ってくだされ」
視線が、痛い。いくさばで感じるそれに似た、強く痛い視線だ。だが、今、政宗はその目が怖かった。臆病な心を見透かされそうで、怖い。常ならば、幸村にそんな目で見られても興奮するだけなのに、と自嘲するふりで、恐れる心を鎮めようとしたが、うまくいかない。
「何、を…」
「某を、愛していないと」
常より低く潜められた声が、見えない刃となって心を貫く。びくりと震えて顔を上げた、政宗の負けだった。視線を絡められ、唯一の抵抗手段を奪われた。
「どうか、某の目を見てくだされ」
夜の帳はすべての音を包み、政宗には幸村の声しか聞こえない。決して大きな声ではないというのに、どうしてこんなに響くのだろう。政宗の、心に、頭に。
「そして、言えるものなら言ってくだされ、愛していない、と」
「…」
「その言葉を聞いたのなら、某は出て行きましょう」
強く、低く、確信を持った声。
「さな、だ…」
「そなたの…人生から」
どこもかしこも暗闇で、そういえば今日は月の無い夜だったとふと場違いに思い至った政宗は、その暗さの中でも至近距離で見つめた幸村の瞳だけは輝いていて、すべての力を抜いた。
「政宗殿!?」
不意にくずおれた政宗を、慌てて抱きとめた幸村は、ずるずるとしゃがみこんだ政宗の手を、それでも離しはせず、逃げ出す余裕すら与えなかった。
「…あんたは、………ずるい」
「政宗殿…」
「俺が、…そんなこと、言えないと、知って…」
それから先は、嗚咽に阻まれて言葉にならなかった。
己の心も、言葉も、何もかもままらななくて口惜しくて、幸村の腕の中で政宗は声を殺して泣くことしかできなかった。
まあ、政宗様なら「愛してない」とか言って強がっちゃうと思いますけどね。で、去っていく幸村の背中をぼんやりと見つめて、見えなくなったところでようやく泣くくらいですかね。いや、「愛してない」って言ったあとに、俯き加減で足早に幸村の横をすり抜けていくとか。弱い政宗様もいいけど、自分ではどうしようもないところまで強がっちゃう政宗様も素敵です。
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