白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
Fri 04 , 23:47:15
2011/02
友人にバレンタインは何か書かないのかと聞かれてとりあえず妄想してみた結果思いついたネタ。なんだかすごく残念です。
追記より、バレンタインネタでチカダテ現代。
後半はもうバレンタイン関係ないというか、そもそもこれをバレンタインネタと言っていいのかどうか…。あれ、何がどうしてこうなった。
追記より、バレンタインネタでチカダテ現代。
後半はもうバレンタイン関係ないというか、そもそもこれをバレンタインネタと言っていいのかどうか…。あれ、何がどうしてこうなった。
「なあ、今年のバレンタインなんだけどよ」
気まぐれで気難しい猫のような恋人が、珍しく自分からすりよってきた。
元親が一人暮らしするマンションのリビングで、先ほどまではおとなしく本を読んでいたようだが飽きたのだろう。机の上に無造作に置かれた本の裏表紙が見える。
「くれるのか?」
ソファに腰掛けた元親の膝に遠慮なく乗り上げ擦り寄る様は猫そのものだ。しなやかな背が伸びをするように一度反って、それから首もとに頬を寄せる。ふわりと香る甘すぎないフレグランスに頬が緩んだ。腰に手を回し抱き寄せると、居心地のいい場所を探して少し身じろいだ後、おとなしく腕の中に治まった。どうやら今日はずいぶん機嫌がいいらしい。
「俺のカカオ99%チョコレートがけか、手作りガトーショコラか、どっちがいい?」
究極の選択だ。
元親はガタイがよく少々ガラが悪い見た目に反して甘い物好きで、政宗の作るガトーショコラは元親の好物の一つだ。政宗自信は甘いものがあまり好きでないため、めったに作ってくれないのだが。前に政宗の焼いたガトーショコラを食べたのはいつだっただろう。すぐには思い出せないほどに遠い記憶であることは間違いない。
だがしかし、カカオ99%のチョコレートというのはすでにチョコレートと認めたくない代物ではあるが、それを政宗にかけていただくのであれば、極上の甘味に…いや、さすがに味覚はだませないだろうが、政宗の白い肌にチョコレートの濃い色がかかる姿は想像するだに淫靡で、卑猥だ。視覚的にかなりくるものがある。気まぐれな恋人は自分の気がのらなければ、途中でも「やっぱりやめる」と言ってさっさと服を着て帰ってしまうことがあり、元親はたびたび欲求不満に陥るのだが、今回は自分から誘いかけてきてくれてるのだから、さすがにそんなことはしないだろう。というか、チョコレートにまみれた時点ですぐには帰れない状態だ。ということは、そのままフルコース朝までベッドで仲良くできるはず。
はっきり言ってどちらも捨てがたい。だが、やはり、ここは。
「勿論、おまえの「ま、どっちもやるつもりはないけどな」
あっさりと言い放った政宗はやはり猫のような俊敏さですばやく元親の膝から降りると、唖然とする元親に見向きもしないで帰り支度をはじめた。
「お、おい、帰るのかよ」
「Yes!今夜のdinnerは小十郎が作ってくれるって言ってたしなあんまり遅くなったら悪いだろ」
「晩飯にはまだ早すぎるだろうが」
テレビラックの上におかれた時計の短針はまだ3と4の間を指している。ちなみに政宗の家はここから歩いて10分のところにある。
「久しぶりに小十郎が午後から仕事休みなんだから、たまにはゆっくりしたいしな。bye,darling」
元親の頬に軽く口付けると、伸ばされた腕をさらりと交わして政宗は無情にも玄関に向かう。片倉とゆっくりするのが久しぶりだと政宗は言うが、元親だって近頃ずっと忙しくて政宗とこんな風にゆっくり過ごすのはずいぶん久しぶりなのだ。休みが取れたと電話で告げたときに嬉しそうに「じゃあ会いに行く」と言ってくれたもんだから、てっきり今日はお泊りコースだと思っていたのに。なのになんだこの仕打ち。恋人よりもお目付け役のほうが大事なのかおまえは。
「あ、そうだ」
失意に打ちひしがれる元親を無視して靴を履き終えた政宗は何かにきづいたようにようやく振り返り、元親を見た。
「9時くらいにまたくるから、出かけたりするなよ」
「は?」
「小十郎と飯食って、ゆっくりしたらまたこっちくるから。泊めてくれるだろ?あんたの晩飯用にドリア作っといたから。冷蔵庫の中に入れてあるから、オーブンで焼いてから食べとけよ。あ、そうだ。サラダもあるから忘れるなよ」
そう告げた政宗があっさりとドアを開けて帰ろうとするのであわてて追いすがり腕をつかんだ。
「は?え、何で」
「?何が?」
「え、だって、おまえ、帰るって…え、片倉さんは?ってか、いつの間にドリア…」
「小十郎、明日から3週間出張なんだよ。だから、せめて今日ゆっくり飯でも、ってことになって。ゆっくりするなら家のほうが人目とか時間とか気にしなくていいし。でも、明日朝早いから早めに帰るって言ってたし。で、あんたとゆっくりできるのも久しぶりだから、だったらまたこっち来てあんたと一緒にいたいし。で、あとなんだっけ。…ああ、そうだ。ドリアは、昼飯作るときについでに作っといた。あんたひとりだと外食かコンビに弁当で済まそうとするだろ。俺がいるのにそんなのは許せねえからな。…っと、こんなもんか?You see?」
「…あいしー」
「Good。じゃあ、また後で「政宗」
「…まだ何かあるのか?」
「待ってるから、早く来いよ」
一応設定
元親…27歳。会社勤め。政宗とは大学のときからの付き合い。現在はマンションで一人暮らし。
政宗…25歳。翻訳家。たまに自分で小説書いたりもする。知名度はそんなに高くない。実家は金持ちだが自分の食い扶持は自分で稼ぐ。でも住んでるのは伊達家所有の高級マンション。
小十郎…35歳。伊達系列の会社の部長。仕事のできるいい男。独身。政宗溺愛。趣味は畑仕事。元親と政宗が付き合っていることは知っているし、元親のことは認めたくないが政宗が幸せならかまわない。
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