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白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
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Sun 17 , 17:20:45
2008/02
あのころの僕らに大切なものはなかった。
だから、君だけを愛することができた。


「これで、サヨナラだな」
「うん」
「もう、会うこともないよな」
「多分ね」
「…」
「寂しい?」
「寂しくないといえば嘘になる」
「うん」
「でも、少しほっとしてる」
「うん」
「お前といると俺はおまえでいっぱいになってお前のことしか考えられなくなってお前以外どうでもよくなってしまうから」
「うん」
「だから、寂しいけれど広い世界に出るのは怖いけれど、やっぱり寂しさが勝るけど、でも、ほっとしてる」
「うん」
「…」
「愛してるよ」
「っ!」
「ずっと言えなくてゴメンね」
「…今頃言うなんて、ずるい」
「うん」
「もっと早くに聞きたかった」
「うん」
「そうしたら、俺は…っ」
「ずっと、ここにいてくれた?」
「…」
「そう思ったから、言えなかったんだよ」
「俺のせいなのか?」
「違う。僕のわがまま」
「…」
「君は本当にいろいろな可能性を持っているから、僕だけのところに縛り付けたくなかったんだ。君の可能性を壊したくなかったんだ」
「…そんなの、嬉しくない。俺はいつだってお前以外いらなかったのに」
「知ってた。でも、僕のエゴだってわかってても言えなかった」
「だったら、最後まで何も言わないでほしかった…っ!」
「ゴメンね。我慢できなかったんだ」
「最低だ」
「最低だってわかってても、君が僕のことを忘れないようにしたかったんだ」
「バカ」
「バカでもいいよ。…君を愛している。君の無限の可能性を壊したくない。君とはなれたくない。そばにいたい。でも、一緒にいるのが怖い」
「どうして」
「いつか、君を壊してしまいそうだったから。…ああ、ほら、もう列車がでるよ。君はいかなくちゃ」
「おいっ…」
「愛してるよ。幸せになって。忘れないで。大好きだよ。行かないで。さようなら」
「…っ」

最後のキスは煙草の匂い。
遠ざかる列車を見送って、僕は一人で涙を流す。

「言えるわけがないじゃないか。あと…1年も生きられない僕のそばにずっといてほしい、だなんて。そんな残酷なこと」

誰よりも愛しているよ。
その幸せを願っているよ。

僕を忘れて幸せになる君を見たくないけれど、僕のいない世界でもいいから君は笑っていて。
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更新はまったり遅いですが、徒然なるままに日記やら突発でSSやら書いていく所存ですのでどうぞヨロシク。
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