白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
Thu 31 , 22:35:22
2012/05
なんか書きたくなったので、勢いだけで書いてみた。
追記よりSSSです。
・チカ×ダテ
・現代
・同棲してるっぽい
意味がわからなかった方は、明治時代の文豪の「I love you」の訳し方について検索なさるとよろしいかと。今回用いたのは一種都市伝説のようなもので、有名なエピソードではありますが、出典が不明のため、現実味にかける逸話です。でも、とても素敵な訳で、私は好きです。
追記よりSSSです。
・チカ×ダテ
・現代
・同棲してるっぽい
意味がわからなかった方は、明治時代の文豪の「I love you」の訳し方について検索なさるとよろしいかと。今回用いたのは一種都市伝説のようなもので、有名なエピソードではありますが、出典が不明のため、現実味にかける逸話です。でも、とても素敵な訳で、私は好きです。
「あんまり月って好きじゃねえんだけどよぅ」
月の綺麗な夜だから、とベランダで月見酒と洒落込んで上機嫌だった政宗は、恋人の無粋な言葉に眉をひそめた。
「気乗りしないなら、最初からそう言えよ」
元親のことをちらとも見ないでそう言う政宗に、元親は慌てて恋人を抱きしめようとする。が、その手すらすげなく振り払われる。
「別に、お前が居なくても月は綺麗だし酒は上手いし俺は満足だ」
フン、とそっぽを向き、ついでに元親が先ほどからうまいうまいと喜んで手を伸ばしていた白身魚の蒸し物を元親から届かない場所に押しやる。
「そんなにつれないこと言うなよ。つか、こっち向いてくれよ、政宗ぇ」
普段の、アニキ然とした様子などかなぐり捨て、必死に政宗の機嫌を取る様子は飼い主に見捨てられまいと必死な犬のようで、動物好きの政宗の心はわずかばかり揺れる。しかし、風流を愛する政宗は雪月花を楽しむことを重んじている。中でも月は特に好ましいと日ごろから思っているだけに、元親の暴言は許しがたい。
「月が好きじゃねえんなら、さっさと部屋に戻れよ。俺は一人で楽しむ」
「まさむねぇ」
「…」
「こっち見てくれよ」
「…」
「俺が言いてえのは、さ」
一向に機嫌を直さない政宗に焦れた元親は、思い切り顔をしかめて睨みつける政宗を無視し、とりあえず背中からぎゅうと羽交い絞めのように抱きしめ、勝手に話し出した。聞こえないふりをしてやろうにも、耳元でしゃべられてはそれすらできない。
「月はあんまり好きじゃねえけど、おまえと見るなら、月もすげえ綺麗に見える、ってことだ」
この男は本気で馬鹿なんじゃないだろうか、と政宗は時々思う。否、時々ではなく、しょっちゅう、いつも、かもしれないが。とりあえず、元親は馬鹿だ、と苦々しく思う。
「政宗?」
「…っ」
「顔、真っ赤だぜ?」
耳も首筋も真っ赤に染めた政宗に、形勢逆転を確信したのか、ニヤリと笑った元親が意識的に低めた声で政宗の耳元に囁く。
「あんた…、タチ、悪ぃ…っ」
馬鹿だ。馬鹿だ。馬鹿だ。なんて馬鹿な男なんだ。どうせ、この男は、何も知らないに違いない。知らないくせに、こんな言葉を言ったに違いない。今だって、元親は自分が何を言ったかもわからないまま、言葉の表面の意味だけで政宗が顔を赤らめていると思っているに違いない。本当に、救いようのないくらい、馬鹿な男だ。そして、それ以上に、そんな馬鹿な男の言葉に振り回されて、こんなにも心臓を忙しなく働かせている自分こそ、本当の馬鹿なのだろう、と思った。
「機嫌、直ったか?」
ニッと笑う男が恨めしい。取り繕うことすらできないほどに反応してしまった自分が恥ずかしい。腹いせに、政宗は自分を抱きしめる腕の中で身体の向きを変え、そのまま無駄にたくましい身体に思い切り飛びついた。
月の綺麗な夜だから、とベランダで月見酒と洒落込んで上機嫌だった政宗は、恋人の無粋な言葉に眉をひそめた。
「気乗りしないなら、最初からそう言えよ」
元親のことをちらとも見ないでそう言う政宗に、元親は慌てて恋人を抱きしめようとする。が、その手すらすげなく振り払われる。
「別に、お前が居なくても月は綺麗だし酒は上手いし俺は満足だ」
フン、とそっぽを向き、ついでに元親が先ほどからうまいうまいと喜んで手を伸ばしていた白身魚の蒸し物を元親から届かない場所に押しやる。
「そんなにつれないこと言うなよ。つか、こっち向いてくれよ、政宗ぇ」
普段の、アニキ然とした様子などかなぐり捨て、必死に政宗の機嫌を取る様子は飼い主に見捨てられまいと必死な犬のようで、動物好きの政宗の心はわずかばかり揺れる。しかし、風流を愛する政宗は雪月花を楽しむことを重んじている。中でも月は特に好ましいと日ごろから思っているだけに、元親の暴言は許しがたい。
「月が好きじゃねえんなら、さっさと部屋に戻れよ。俺は一人で楽しむ」
「まさむねぇ」
「…」
「こっち見てくれよ」
「…」
「俺が言いてえのは、さ」
一向に機嫌を直さない政宗に焦れた元親は、思い切り顔をしかめて睨みつける政宗を無視し、とりあえず背中からぎゅうと羽交い絞めのように抱きしめ、勝手に話し出した。聞こえないふりをしてやろうにも、耳元でしゃべられてはそれすらできない。
「月はあんまり好きじゃねえけど、おまえと見るなら、月もすげえ綺麗に見える、ってことだ」
この男は本気で馬鹿なんじゃないだろうか、と政宗は時々思う。否、時々ではなく、しょっちゅう、いつも、かもしれないが。とりあえず、元親は馬鹿だ、と苦々しく思う。
「政宗?」
「…っ」
「顔、真っ赤だぜ?」
耳も首筋も真っ赤に染めた政宗に、形勢逆転を確信したのか、ニヤリと笑った元親が意識的に低めた声で政宗の耳元に囁く。
「あんた…、タチ、悪ぃ…っ」
馬鹿だ。馬鹿だ。馬鹿だ。なんて馬鹿な男なんだ。どうせ、この男は、何も知らないに違いない。知らないくせに、こんな言葉を言ったに違いない。今だって、元親は自分が何を言ったかもわからないまま、言葉の表面の意味だけで政宗が顔を赤らめていると思っているに違いない。本当に、救いようのないくらい、馬鹿な男だ。そして、それ以上に、そんな馬鹿な男の言葉に振り回されて、こんなにも心臓を忙しなく働かせている自分こそ、本当の馬鹿なのだろう、と思った。
「機嫌、直ったか?」
ニッと笑う男が恨めしい。取り繕うことすらできないほどに反応してしまった自分が恥ずかしい。腹いせに、政宗は自分を抱きしめる腕の中で身体の向きを変え、そのまま無駄にたくましい身体に思い切り飛びついた。
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