白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
Tue 06 , 01:02:57
2009/01
小十郎×政宗 現代
時々、幸せだと思う。
幼いころの付き合い
プラス
十歳の年の差
イコール
埋まらない、追いつけない、いつまでも子供扱いのジレンマ
小十郎に出会ったころのことはギリギリ覚えている。俺にとって10歳年上の小十郎は「頼りになる、何でもできるかっこいいお兄ちゃん」だった。
最初のころは「おにーちゃん」と呼んでいたが小十郎が「名前で呼べばいい」って言うから遠慮なく名前で呼ぶようになった。喜多姉によると、小十郎は下に兄弟がいないため、お兄ちゃんと呼ばれなれておらずどうにも照れて落ち着かなかったらしい。それを聞いて強面に似合わない純情なところが意外にかわいいと思った。
俺は小十郎が大好きで、友達と遊ぶよりも親に遊んでもらうよりも、小十郎と一緒にいることが好きだった。小十郎もなんだかんだいいながらも俺の相手をしてくれて、一緒にいないと落ち着かないくらい、一緒にいるのが当然だった。
それがとてもうれしかったのに。それだけで、満足できたらよかったのに。
恋なんて、気づかなければよかった。
「小十郎、Happy New Year!」
「ああ、あけましておめでとう、政宗」
同じコタツに入りながら新年を迎えた瞬間に笑いあう。喜多姉は旦那と一緒にいるし、俺の両親と小十郎の両親は温泉旅行に行っている。来年…いや、すでに今年か…受験生である俺は当然、留守番組。一人で正月もつまらないだろう、と小十郎も残ってくれた。二人きりの年越しも正月も初めてで、俺はうれしくてたまらない。
「もうちょっとたったら初詣、行くか」
「おう」
「その後、足を伸ばして初日の出を見に行こう」
「Ok!楽しみだぜ」
小十郎にとって俺はきっと手のかかる弟でしかないのだろう。それでも、小十郎は俺を大切にしてくれるし、そばにいてくれる。それだけで満足しろ、自分に何度も言い聞かせる、高望みが何になる。
「な、小十郎は何をお願いするんだ?」
「あー?」
「初詣、どうするんだ?」
「そうだな…」
「早く言えよ!」
小十郎の大きな手が俺の頭をなぜる。
「政宗が…」
「俺?」
優しい瞳が俺を捉える。
「大学に合格しますように」
「は?」
口元に、小さな笑み。
「健康でありますように」
「笑っていられますように」
「幸せでありますように」
「まだ、俺から離れていきませんように」
息が止まるかと思った。
顔が熱い。
馬鹿、とか俺のことばっかりじゃねえか、とか子ども扱いすんな、とかもごもご口の中でつぶやいて。
結局。
「離れてなんかいかねぇよ…」
小さくこぼして、大きな手に引き寄せられるままにたくましい肩に顔をうずめた。
「そうか」
そっけなく返された言葉。
だけど、小さいころから一緒にいるから小十郎の声に含まれたうれしそうな響きも気づいてしまって。
(この天然タラシ男め…!)
悔しくなりながらも、今年も来年も再来年も、飽きるほどにずっとずっと、小十郎のそばに入れたらいいのに、と心の中でつぶやいた。
時々、幸せだと思う。
幼いころの付き合い
プラス
十歳の年の差
イコール
埋まらない、追いつけない、いつまでも子供扱いのジレンマ
小十郎に出会ったころのことはギリギリ覚えている。俺にとって10歳年上の小十郎は「頼りになる、何でもできるかっこいいお兄ちゃん」だった。
最初のころは「おにーちゃん」と呼んでいたが小十郎が「名前で呼べばいい」って言うから遠慮なく名前で呼ぶようになった。喜多姉によると、小十郎は下に兄弟がいないため、お兄ちゃんと呼ばれなれておらずどうにも照れて落ち着かなかったらしい。それを聞いて強面に似合わない純情なところが意外にかわいいと思った。
俺は小十郎が大好きで、友達と遊ぶよりも親に遊んでもらうよりも、小十郎と一緒にいることが好きだった。小十郎もなんだかんだいいながらも俺の相手をしてくれて、一緒にいないと落ち着かないくらい、一緒にいるのが当然だった。
それがとてもうれしかったのに。それだけで、満足できたらよかったのに。
恋なんて、気づかなければよかった。
「小十郎、Happy New Year!」
「ああ、あけましておめでとう、政宗」
同じコタツに入りながら新年を迎えた瞬間に笑いあう。喜多姉は旦那と一緒にいるし、俺の両親と小十郎の両親は温泉旅行に行っている。来年…いや、すでに今年か…受験生である俺は当然、留守番組。一人で正月もつまらないだろう、と小十郎も残ってくれた。二人きりの年越しも正月も初めてで、俺はうれしくてたまらない。
「もうちょっとたったら初詣、行くか」
「おう」
「その後、足を伸ばして初日の出を見に行こう」
「Ok!楽しみだぜ」
小十郎にとって俺はきっと手のかかる弟でしかないのだろう。それでも、小十郎は俺を大切にしてくれるし、そばにいてくれる。それだけで満足しろ、自分に何度も言い聞かせる、高望みが何になる。
「な、小十郎は何をお願いするんだ?」
「あー?」
「初詣、どうするんだ?」
「そうだな…」
「早く言えよ!」
小十郎の大きな手が俺の頭をなぜる。
「政宗が…」
「俺?」
優しい瞳が俺を捉える。
「大学に合格しますように」
「は?」
口元に、小さな笑み。
「健康でありますように」
「笑っていられますように」
「幸せでありますように」
「まだ、俺から離れていきませんように」
息が止まるかと思った。
顔が熱い。
馬鹿、とか俺のことばっかりじゃねえか、とか子ども扱いすんな、とかもごもご口の中でつぶやいて。
結局。
「離れてなんかいかねぇよ…」
小さくこぼして、大きな手に引き寄せられるままにたくましい肩に顔をうずめた。
「そうか」
そっけなく返された言葉。
だけど、小さいころから一緒にいるから小十郎の声に含まれたうれしそうな響きも気づいてしまって。
(この天然タラシ男め…!)
悔しくなりながらも、今年も来年も再来年も、飽きるほどにずっとずっと、小十郎のそばに入れたらいいのに、と心の中でつぶやいた。
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