幸福の生まれる場所

・最終幻想6
・ロック×ティナ
・ED後
・ティナの設定に捏造有

どんとこい！な方は続き欄からどうぞ。


最終幻想シリーズ最愛キャラがティナだということは以前書いた気がしますが。
考えてみれば、マンガやらゲームやら小説やら、さまざまなジャンルをあわせて一番最初に好きになったキャラでもある気がします。
ロックとらぶらぶになって欲しかったのに本編ではロックとセリスがいい感じになっていて、非常に悲しかったことを覚えています。それが作品発売当時のこと。そのころは兄やら父やらがプレイしているのを横から眺めているレベルでした。セリスもキャラクターは好きなんですが…ロクティナ愛好家としては納得の行かない終わり方ではあるかもしれません。

で、まあ、１０年以上も前から好きなカップリングなわけですが、そういえば書いたことはないなあ、と書いてみました。書きたかったものとは違うものができたのですが、まあ、これはこれで悪くないのでよしとします。いつかまた書きたいな、ロクティナ！

ケフカが死に、瓦礫の塔が崩壊した。
世界から魔法が少しずつ消えていく。

幻獣とのハーフであるティナは存在は消えなかったものの魔道の力を失い、その副作用なのか、今では戦いながら旅をしていたあのころの半分ほどしか体力がない。
ほんとうは戦いが終わったらティナにこの世界にある数え切れないほどの美しいものを見せてあげたくて、一緒に旅をしたいと思っていた。けれどティナには旅ができるほどの体力がもうない。
『行って、ロック。あなたはひとつのところにとどまる人じゃないでしょ？…そばにいて、遠くに思いをはせるあなたを見ているよりも、遠くにいてわたしのことを考えてくれるほうがうれしいと思うの。それに、ロック。いくらあなたでも、ずっと旅をし続けるのは疲れるでしょう？わたしはずっとモブリズで子どもたちと一緒に暮らしながらあなたを待っているから。わたしは、あなたが帰ってくる場所になりたいの』
そう笑って背を押してくれたのはティナだ。
そしてもう随分長いこと根無し草だったロックは帰る場所と自分を待っていてくれる家族とも呼べる大切な存在を手に入れたのだ。
『ああ、必ず…ティナ』
何があっても帰ってくるよ。君のところに。




ティナは体力が落ちたことを悲観する風はなかった。
旅にでることはできないが、モブリズで暮らす分にはそう問題がないからだ。子どもたちの相手をずっとしていれば、流石に疲れて時には眩暈もするが、赤ん坊が生まれて父と母になったディーンとカタリーナはずいぶんティナを助けてくれる。
『今の私はあのころみたいに世界中を旅するような体力がないし、みんなにもなかなか会いに行けないけど、でも、みんなたまに会いに来てくれるし。一番会いたい人は、ここに帰ってきてくれる。だから、問題はないの。わたしは幸せよ。だからそんなに心配そうな顔をしないで、ロック。お母さんも、そんなに身体の強い人じゃなかったみたいだから、もしかしたらもともとのわたしはこうだったのかもしれないね』
そう言って笑っていたティナは、けれど出会ったことのような儚さの代わりにしなやかな強さを手に入れたように見えた。



「おかえりなさい、ロック」

ケフカを倒し、大きな脅威の去った世界で俺はかつてのようにトレジャーハンティングをしている。たまに昔馴染みの王様、エドガーの依頼を受けることもある。世界で唯一の飛空挺を所持するセッツァーに乗せてもらえばどこまでもいける。
世界中を旅して、いろいろなものを見て、そして俺は抱えきれないほどのお土産を持ってモブリズを訪れるのだ。
そこでは、子どもたちと穏やかに過ごすティナが気まぐれに旅をする俺をいつでも待っていてくれる。

「ただいま、ティナ」

花のように笑って俺を迎えてくれるティナに俺も笑いかけて、抱えきれないほどのお土産をその辺に投げ捨てて（この程度で壊れるようなものは今回はもってきていない）ティナを抱きしめて額に口付ける。子どもたちがわらわらと寄ってきて地面に投げおかれたお土産を勝手にあさる。いつものことなので子どもたちもすでに慣れっこだ。

（うわー、すごい）
（これなあに？）
（これ、ぼくのー！）
（ありがとう、ロック！）
（ロックはティナママとらぶらぶだから、邪魔しちゃだめなんだよ）
（ティナママ嬉しそう）

幸せをかみ締めながら、ティナにキスをした。