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白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
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Tue 31 , 18:30:38
2007/07
恋なんてものは、落とし穴のようにある日突然落ちるものなのだろうか。
それとも、坂道を下っていくように気がつけば落ちているものなのだろうか。

わからないけれど、それでもオレたちはその日、初めて互いを異性として認識した。




「危ないっ」
と言って、危機から庇うように抱き寄せたら、その身体は思っていたよりもずっと細くて、腕の中に納まってしまうほどだった。
任務中であったからすぐに腕を放して、その一瞬の驚きのことなんてすっかり忘れてしまったのだが。


今、どうして自分は彼女を抱きしめているのだろう。
否、どうして彼女は自分に抱きついてきたのだろう。
別に、今更照れるような間柄ではないし(何せ、ガキのころには一緒に風呂に入っていた記憶まである)かまわないといえばかまわないのだが、ほかの誰かに見られたら外聞が悪いのではないだろうか。

「あ、やっぱり」
「…何が」
「シカマル、大きい」
「ああ?」
「だって、さっき…庇ってくれたときにね、なーんか、シカマルが大きく感じたの。で、任務中で危ないときだったから頼もしく感じたのか、実際にシカマルのほうが大きいのか、確かめてみたかったんだけど…」
「で?」
「やっぱり、シカマルも男の子なんだね」
「おまえはオレをいったいなんだと…」


いのは、少し悔しそうにオレを見上げる。そういえば、身長も随分差ができている。いののほうが背が高かった時期もあったのに。なんとも色気のない理由ではあるが、抱き合っているために普段は目に付かないようなところが見える。

(首筋、細い。色、白い。うなじが…。あ、なんかいいにおいするし)

「おまえも、そういえば女なんだよな」
「何よ、それ。失礼ね」
「おまえもさっきおんなじ様なこと言ってただろうが」
「あたしはいいの」
「どういう理屈だ」
「女の子の理屈よ」
「わけわかんねえし」


中身なんて、ガキのころから大して変わんないのに。
オレたちの距離だって、ガキのころから大して変わんないのに。


「あーーー!!!!」

「んだよ…ナルトか」
「あ、サクラもいる」

うるさい叫び声のしたほうへ顔を向ければ、見慣れた金髪が目に入った。その隣にはサクラもいる。

「な、な、な、な」
「“な”?」
「なんで、あんたたち抱き合ってんのよーーー!!!!!」
「へ?」
「…」
「…」

別に、他意はなかったのだけれど。
それでも、確かにこの格好は端から見れば“そういうこと”なわけで。

「「!」」

急いで、離れた。

「べ、別に、シカマルとそういうことってわけじゃなくって、単に、シカマルが大きくなったな、って!」
「あんたたち、いつもそうやって比べてるわけ?」
「別に、いつもやってるわけじゃなくって!今日はたまたま…」
「ふーん?」

「あー…本当にびっくりしたってばよ」
「なんで」
「シカマルといのが付き合ってるんだと思ったってば」
「は?」
「そうそう、そうとしか見えなかったわよ。こんなところで二人きりでしっかり抱き合って…」
「…誤解を招くような言い方をするな」
「だって、そうとしかいえないわよ」
「はぁ…」
「でもね、なんか…意外にお似合いだったわよ?」
「…」



結局、その後4人で団子を食ってから帰ったわけなんだが。
ナルトとサクラの発言で、ようやくオレたちは互いが男と女であると言うことに気づいた。
つまり、恋愛対象になり得る存在である、ということ。

茶屋でのいのの態度は明らかに普段とは違っていた。ちょっと手が触れただけでも、大げさなくらいにばっと手を引く。なるべく目をあわせようとしない。飛んできた葉っぱが髪についてたからとってやったら、一気に顔を真っ赤にする。
そんな反応は新鮮で面白かったんだけれども。

「あれ、シカマル、なんか顔赤いってばよ」

オレも人のことをとやかく言えるような状態ではなかったらしい。


さて、これから先、また今までのように性別の関係ない幼馴染として付き合っていくのか、それとも今日気づいてしまった男と女という性別の違いを意識した付き合いになるのか、はたまた離れていってしまうのか。

色々考えるのはめんどくさいから、とりあえずは相手の出方に任せようと思う。
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Mon 30 , 23:00:36
2007/07
「室町幕府って、なんか印象薄いよね~」

などと言いましたら、母上は
「え、何それ。そんなのあったっけ」
といいました。父上は
「ほら、あれだよ。足利幕府。室町時代」
とフォローをいれてくださいましたが、その後に私に同意を求めるようにして
「あしかが幕府だよね?」
と。
それはいいんです。でも、もう一度彼は言いました。

「アシカが幕府だよね?」

おいーーーー!!!!
思わず遠い目になってしまう夕食の時間でした。
Sun 29 , 23:29:04
2007/07
今日、京都に行ってきました。

用事があって行ったんですが、それは2時くらいに終わっちゃったので、友人と一緒に「ここはひとつ、受験生らしく!」と北野天満宮にお参りに行きました。梅を干していて…正直、くさかったです(ごめんなさい)
梅の花は好きなんですが、梅の実は…苦手なんですよ。一緒に行った友達は、家に梅の木があるらしくて「ついこないだまでうちもこんなにおいがしてた」と言ってました。
まあ、梅の匂いはともかく、お参りをして、おみくじをして…。

大吉!!!

とても嬉しかったです。
なんか、学問の神様である菅原道真公を祀っているこの場所で大吉が出て、しかも学問の部分には「叶う」という文字が。
もちろん、努力をすればの話ですが、それでもこう…知っている人とか先生とかが言うのではなく、客観的な立場から「叶う」って断言してもらうと、本当に叶う気がしてきます。いや、別に…わかってますよ?結局は人が作ったものでしかない、なんてことは。
でも、菅原道真公、好きですし。
とにかく嬉しかったんです。

頑張ろう、っていう気持ちになれた。

お守りをひとつ買って、北野天満宮を後にしました。
望みが叶って第一志望に合格できたら、お礼を言いにまた来たいです。
Fri 27 , 19:16:05
2007/07
えーっと、今日も朝から補習です。
で、私が取っている教科は古典、英語、現文、日本史の4教科でございまして、1、2、3限+お昼ごはん+4、5限という日程なため、お昼食べてから70分+休憩時間15分、という空き時間があるわけなのですよ。
その時間はたいてい図書室で自習をしています。が、今日は雨月物語を読んでおりました。上田秋成の書いた作品ですね。有名です。国語の文学史でも日本史の文化史でも出てきます。とにかく、それを読んでいたわけなのですよ。

…読みながら、その中の短編のひとつ「菊花の誓」をBASARAキャラで置き換えようと妄想している自分がいました!!

「う~ん、こっちが真田かなぁ。そうすると、こっちが筆頭で…いやいや、キャラ的にはそうだけど、筆頭のほうが年上だしなぁ。母親は…誰だ?…サスケしか思いつかない。ああ、でも小十郎も使いたいしなぁ」

おいおい、文学作品に失礼だぞ。
でも、ちょっと書いてみたなぁ(ここはNARUTOがメインのサイトですよ?)
Fri 27 , 01:08:26
2007/07
生も死も、厭いはしない。
これが己の生の終焉だというのなら、俺は喜んで受け入れよう。
ただし、俺はそれでも最後の一呼吸まで夢を見ることを諦めない。



かなえたい夢が、あった。
戦のない国を作ること。
農民たちが安心して田を耕し、笑いながら未来を語れる国を作ること。
恐れるのは…心にかけるのは、横暴な武士やでたらめな租税、迫る戦ではなく作物のできを左右する明日の天候で。

そんな、国を作るのが俺の夢。



「shit…やっちまった…」

それでも、後悔はない。
「政宗殿…っ」
どうして、俺に勝ったおまえが泣きそうな顔をしているんだ。

真田幸村

おまえに負けるのならば、後悔は欠片もないというのに。
俺はこの呼吸が途絶えるその瞬間まで天下統一の夢を見るだろう。
戦のない国で笑う人々を心に描くだろう。
だが、それでも今ここで志半ばにして倒れても、後悔はないのだ。
心のうちに在るのは満足感。

思うまま、心のままに刃を重ね、そして倒れた。
負けたことに対する悔しさはある。
けれども、それ以上の満足感が俺を包む。

なあ、真田幸村。
おまえと闘うのは、本当に楽しかったよ。
永遠に、この瞬間が続けばいいと願うほどに、楽しかったよ。
おまえと闘っている間は、俺は奥州筆頭ではなく、ただの伊達政宗という男でしかなかった。
おまえも、そうだろう?
俺と闘っている間は、おまえはただの真田幸村という男でしかなかっただろう?俺だけを、その双眸に見据えて、心のすべてを俺が支配していただろう?
俺の心をおまえだけが支配していたように。


「政宗殿…っ!!」

絞り出すような声が耳に痛い。かすれぼやける視界の中に、泣き出しそうな顔の男がいる。
(幸村…)
手を伸ばしてその涙をぬぐうことも、できないけれど。
「某は…そなたのことを…」
聞きたくて、聞きたくて、そして…聞くことを拒んだ言葉を幸村は聞かせようとする。
でも、もう…いいよな?
俺は死ぬんだから。
もう、この言葉を聞いても…同じ思いを告げても、いいよな?
「そなたのことを…ずっと…ずっと、慕っております…」
「Thanks」
掠れた声で、それでも言葉は途絶えなかった。
「And I love you」
異国の言葉で伝えた思いは、きっと幸村には理解できなかっただろうに何かを感じたのかくしゃりと顔をゆがめて泣き出した。
「政宗殿、政宗殿、政宗殿…っ」
強く抱きしめられ、縋りつくように名前を呼ばれた。
ガキみてえだな、と思いながら伸ばした手は強い力で握られた。

「んなに…泣くなよ…」
「政宗殿…逝かないでくだされ。この幸村を、置いて逝かれますな…!」
「…」
ここで命を取り留めて、何になる?
俺は生きている限り天下統一の夢を諦めない。
おまえの敬愛する御館様の敵であり続けるだろう。
おまえの望むようにそばにいることなど、共に生きてゆくことなど、できはしないのに。


「…生まれ変わったら…鳥に…なりてえな」


瞳を、閉じる。
幸村の叫ぶ声がどこか遠い。



薄れゆく意識の中に描いたのは、俺を育んだ奥州の地。
俺の愛する国。俺の宝。
美しい、俺の国。
なあ、幸村。知っているか?
田や畑の風にそよぐ緑の波の美しさを。
風に揺れる稲穂の黄金の美しさを。
知っているか?
俺の愛した国の美しさを。


我が生はあの地のために。
我が腕は民を守るために。
我がすべては、奥州のためにある。


死して身体が地に還ったならば、この魂はどうか奥州へ飛んでほしい。
俺の愛した人々の住む、あの地へ飛んでほしい。

なあ、幸村。
いつか、俺の愛した国をおまえも愛してくれ。
あの美しさを、おまえに知ってほしい。

誰よりも、おまえに知ってほしい。






―――

やっちまった(何)
BASARAプレイしたことないのに、サナダテです。しかも死にネタです。ダテサナに見えたとしても、サナダテです。

奥州筆頭が大好きです。あの人、かっこいい!(しかし受け)
真田幸村も大好きです。あの人、かわいい!(しかし攻め)

筆頭は本当に心から奥州を愛していると思います。誰も筆頭を奥州という国から奪うことはできない。たとえ幸村であっても。それは多分、幸村が信玄を心から慕って、そのために闘い続けるということとすごく似ていて、それでいて全く違うところからくる思いです。

なんか、語りたいことはいろいろあるんだけどうまく言葉にできない…。
っていうか、これはあくまでイメージです。実際にゲーム中での二人がどんななのか知らないから書けるという…。筆頭に夢を見すぎているでしょうか。

あー…BASARAやってみたいなぁ…。
Mon 23 , 17:00:36
2007/07
あー…なんていうか、眠いです。
補習はいいんだけど、昨晩なかなか眠れなくて…結局、4時近くじゃないかなぁ、寝たの。
おかげで、英語で爆睡してしまいました。1限の古典はね、頑張ったんですよ。古典好きだから。で、2限の英語で爆睡。英語苦手なんですよ~。一番やらなきゃいけない教科なのに!そのおかげで、3限の現文はこれでもかというくらいに張り切ることができました。まあ、現文の先生はほんっっっとうに!大好きな先生なので眠くても気合で何とかすると思いますが。で、お昼ご飯食べて…4限は何もとってないから図書館で自習して、5限に日本史受けて帰ってきました。
えーっと…朝、家を出たのが8時30くらいで…家に着いたのが4時20?………普段と変わらない気がします(まあ、夏休みだし、なんとなく授業の雰囲気は堅苦しくない気も…いや、あんまりしないか)
Mon 23 , 00:05:45
2007/07
明日から補習がありまして、夏休みだというのに学校に行かねばなりません。はあ、めんどくさい。
で、1限が始まるのが、8:20なわけですよ。普段より早い!というわけで、バスの時間を10分早くしようかな~と考えております。でも、10分早いバスはなぁ…。前、変質者?に会ったんですよね。で、すっごい怖かったんで親に相談して、その時間のバスに乗るときは停留所まで送ってもらったりもしたんです。でも、まあ、最近はその時間でもいないから大丈夫だろうと。そんな感じで夕食時に会話をしていたわけです。


弟「えぇー、お姉ちゃんみたいなのを狙う人がいるのー!?」
母「まあ、制服の魔力よね」
父「制服なんて誰でも着れるんだけどな」
母「制服着てると、なんとなくふらふら~となっちゃうわけよ」
父「要するに、中身はどーでもいいんだよな」

「………父上も、制服着てみる?」


弟と母上とおじいちゃんがブッ、となりましたが残念なことに父上はすでに食べ終わった後でした…。

おじいちゃん「せっかくおいしいゴハンがまずくなっちゃったがや」
母上「ちょ、人がもの食べてる時に変なこと言わないでよ!」
弟「想像しちゃったじゃん!!」

私「…私の勝ちだな」
父「キミの全面勝利を認めるよ」


というわけで、勝利です。
(っつーか、想像したのか弟よ…)
Sat 21 , 15:43:46
2007/07
えー、学生の皆様方は、今日から夏休みだと思います。
で、我が家も例外ではございません。兄弟三人、夏休みー!!

雨だし夏休みだし、いっかー、と思いまして、おきたのは11時半だったんですよ。
でも、…兄上も弟も、まだ寝てました。

「…うわーい、私ったら兄弟の中で一番の早起きー」(普段は私が一番寝穢い)

夏休みだからってだらけすぎだろー!!
Fri 20 , 22:16:16
2007/07
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんが山へ芝刈りに。おばあさんも山に行きました。
おじいさんは、枯れ木に向かって灰を投げつけます。あ、芝刈りじゃなかったのか、というつっこみはなしの方向でお願いします。
そんなおじいさんをうっとりと見ていたおばあさんは、ふと一本の木が光っているのを見つけます。
「おじいさん、おじいさん、この木が光っておりますよ」
「おお、本当じゃ。ためしに折ってみようか」

ボキッ

年寄りとも思えぬ怪力で折った枝の中には、それはそれはかわいらしい女の子。
「あらあら、かわいらしいこと。どこの子かしら?」
その少女が大変気に入ったおばあさんは、優しく話しかけます。
「ねえ、そこのお嬢ちゃん。どうしてこんなところにいるのだい?親御さんは?」
少女は首を横に振るばかり。しめた、と内心思ったおばあさんは、優しく微笑んで言いました。
「飴あげるから、ついておいで」
「…」
少女はちょっと考えてから立ち上がり、おばあさんの手を握りました。
言っておきますが、これは誘拐ではありません。少女が、自発的におばあさんについてきたのです。…もう一度言いますが、誘拐ではありません。誰が何と言おうとも。むしろ、人命救助です。山の中に置き去りにされた少女を無断で連れ去った。立派な人命救助です。誘拐であるはずが、ありません。





時は流れ、かぐや姫と名づけられた少女はすくすくと美しく賢く育ちました。今では、おじいさんの手伝いをして芝刈りをしたり、穴の開いた屋根を修繕したり、熊と相撲をとったりもします。そうそう、とても優しくて正義感の強い子でもありましたので、雪の積もったお地蔵さんをかわいそうに思い、傘をかぶせてあげたこともありました。


そんなある日、かぐや姫は散歩に出た海岸で、いじめられている亀を助けます。
「ありがとうございます、かぐや姫さま」
「なあに、どうしてあなたは私の名前を知っているの?私はそんなに有名?」
「はい、姫さまのご高名は、遠くエーゲ海の底の竜宮城にまで届いております。わが国の猛者どもが、ぜひとも姫と相撲を…ゲフンゲフン、違う違う、うわさに聞く姫の美しさに思いを寄せております」
「まぁ…」
「どうでしょうか、姫さま。助けていただいたお礼に、あなた様を竜宮城にご招待したいと思います。我が主、乙姫様もきっとそれをお望みでございましょう」
「竜宮城は…遠いのかしら?日帰りで行ける?」
「なぜですか?」
「私の帰りが遅いと、私を育ててくださった優しいおじいさんとおばあさんがとても心配するでしょう」
「それなら大丈夫ですよ。海の底と地上とでは、時間の流れが違うのです。問題はありませんよ」
多分、と呟いた言葉は、小さすぎてかぐや姫の耳には届きませんでした。



助けた亀に連れられてやって来た竜宮城で、かぐや姫と乙姫は運命的な出会いをし、親友となりました。
鯛や平目の舞い踊り、ウツボやマグロとの相撲取り。
そして何より、乙姫との空手の特訓に、面白おかしく日々は過ぎていきます。


「ああ、楽しい」
「そう、それはよかったわ。…ねえ、かぐや」
「なあに?乙ちゃん」
「あなた、ずっとここでくらしましょうよ」
「ええ?」
「だって、あなたがいると毎日がとても楽しいんですもの。ね、あなたはそうじゃないの?」
「それは…。私も、とても楽しいわ。でも…」
「かぐや?」
「ねえ、お願い。時間を頂戴。少し…考えさせて」
「…わかったわ」


かぐや姫は考え込んでしまいました。
こんなに長居するつもりはなかった。きっと、おじいさんとおばあさんが私を心配している。早く帰って、安心させてあげなくては…。ああ、でもここでの生活は楽しい。それに…あちらへ帰っても、どうせすぐに月の使者が私を拉致しに…じゃなかった、連れ去りに、いや…ええっと…、そう、迎えに来るわ。そんなの、イヤだわ。せっかくあのジジイ…じゃなくって、天帝のところから逃げ出したっていうのに連れ戻されるなんて、絶対にイヤ。そんなことになれば、おじいさんとおばあさんだけではなく、乙ちゃんとも会えなくなってしまう…。今なら、あいつ等は私がここにいることに気づいていない。それに…気づいたところで、海の中は治外法権。私をムリにさらうことはできやしない。
だったら…。

1時間23分じっくり考えて、かぐや姫の決意は固まりました。
おじいさん、おばあさん、ごめんなさい。かぐやは、乙ちゃんと竜宮城で幸せになります。…あら、なんだか結婚の挨拶みたい?


「かぐや、心は決まった?」
「ええ、乙ちゃん。私…」
「…」
「乙ちゃんと、ここで暮らしていくわ」
「本当!?かぐや!!」
「ええ、よく考えたんだけど…ここで乙ちゃんと一緒にいるのが、私の一番の幸せのような気がするの」
「嬉しい!絶対に幸せにしてみせるからね、かぐや!!」
「ええ、こっちこそ。不束者ですが、どうぞ末永く…」

「「あれ?」」


こうして、かぐや姫は育ててくれたおじいさんとおばあさんのもとにも月の世界にも帰ることなく、今でも幸せに乙姫とともにエーゲ海の底の竜宮城で暮らしています。

そうそう、玉手箱がどうなったかって?
あの日、乙姫は、かぐや姫が地上に帰ると言ったら渡すつもりで用意をしていましたが、かぐや姫は地上には帰りませんでした。だから、今でも玉手箱は乙姫の手元にあります。ただ…中には、かぐや姫の“時間”ではなく、マスカラや口紅…二人の化粧品がはいった小物入れになっているとのうわさです。真偽のほどは定かではありませんが、ある有力な筋からの情報です、とだけ言っておきましょう。
Tue 17 , 23:43:32
2007/07
鳥のように空を飛べたらいい、と思う。
どこまでもどこまでも青い空を飛ぶことができたら、いいと思う。





空を見るのが、好きだ。
流れる雲を見るのが、好きだ。
飛ぶ鳥を見るのが、好きだ。
太陽の日差しを身に浴びるのが、好きだ。
木陰で寝転ぶのが、好きだ。

建物の中は息苦しい。
人の造ったものは、どこか窮屈さがあって、オレは時々とてもいたたまれなくなる。酸素が足りてないんじゃないか、とか考えてみる。
窓を閉め切った部屋は埃っぽくて、でも窓を開けると風が入ってくるから書類が飛ばされてしまう。窓ガラスの向こうには風に揺られてざわめく木々が見えるのに、部屋の中は無風で埃っぽくて、一種のいじめっぽい。

「…要するに、仕事をしたくないの?」
「別に、そういうわけじゃない」
「だったら、どうしたいのよ」
呆れた顔をしているのは、サクラだ。

オレはここのところずっと執務室にこもりきりで、お気に入りの場所に行って雲を眺めながら昼寝をしたいな、と考えている。だからそのために少しでも早く仕事を片付けようと常にないくらいにがんばっているのに、仕事は次から次へと送り込まれてくる。ついつい無言になってしまうのも、仕方がないと思う。

なのに、サクラはそんなオレを見て鬱陶しいから、理由を説明しなさい、と詰め寄ってきた。

なんだ、その自分勝手な言い分は。

そう思ったけど、それを言うとまたぎゃーぎゃーうるさそうだから諦めてこうしてサクラと飯を食いながら話してやったら、上のセリフだ。
女は身勝手で鬱陶しい。

「どうって…だから、オレの気に入りの特等席で、雲を眺めながらぼんやりして、気がついたらもう夕方で、どうやらオレは寝ちまってたらしい…なんて考えながらぶらぶらと家路に着く、っていうのが最高だ。ついでに、晩飯が鯖の味噌煮なら言うことはない」
「何、その無駄に具体的な計画は」
「それがムリだってわかってるから、わがままも言わずに仕事してやってるのに、どうしてわざわざこんなところにつれてこられておまえと二人で飯を食っているんだ、オレは?しかも、オレのおごりってどういう了見だよオイ」
「細かいことは気にしないの。男らしくないわよ」
「細かくねえよ」
「美人と一緒にお昼ご飯食べれて、嬉しいでしょ」
「…………………美人?」
「美人」
「何処に?」
「此処に」
「…何処?」

ドガ

思い切り殴られた。
「いや、おまえさぁ…」
「何?」
「すぐにそうやって暴力に訴えるなよ。最近五代目に似てきたぞ、おまえ」
「あら、嬉しい」
「…」
「師匠は、あたしの憧れで目標よ」
「…つまり、あれか?永遠の独身でいたいということか?伝説のカモになりたいのか?」
「どうしてそっちに行くのよ」
「間違ったことは言っていない」
「シカマルの師匠に対する認識がよくわかったわ」
「…」

周りにいるのは女ばかりで、明らかにオレは場違いで居心地が悪い。サクラのお勧めだけあって、確かに味は悪くないが量が微妙に足りない。同年代の男どもの中ではどちらかと言えば小食な部類に入るが、それでも一応男だ。サクラはこの量で満足でも、オレはそうは行かない。でも、我慢できないほどではないので妥協しよう。

「で、ほんとに…真面目な話、どうなのよ。最近おかしいわよ」
「何が」
「真面目に仕事をするシカマル。しかも、すごく不機嫌そうな顔してるのに文句ひとつ言わない。天変地異の前触れかしら?」
「すげえ言われようだな」
「事実よ」
「…」
「あんた、どうしたいの?」
「そうだな…仕事がある限り休みがとれないのはしょうがないが…せめて、部屋の窓を開けたい」
「書類が飛んでいくわよ」
「わかってる。だから、我慢してる」
「…」
「でも、それでもなぁ…息苦しいんだよ。狭い部屋に、天井までぴっちり書類を詰め込んで、窓も閉めっぱなしでドアも最低限しか開かない。気が狂っちまうぞ?」
「…」
「ま、めんどくせーけど…しょうがねぇか」
「シカマル…」
「そろそろ行くぞ。休憩時間は終わりだ」

伝票を手にして立ち上がると、サクラも慌てて立ち上がりながらオレの手の中にある伝票に手を伸ばす。

「誘ったのはあたしなんだから、あたしがおごるわよ」
「バーカ、女におごられるかよ、かっこ悪い。おとなしくおごられとけ」
「でも…」
「外で待ってろ」

会計を済ませて外に出ると、サクラが申し訳なさそうな微妙な顔で立ってた。

「ごちそうさまでした」
「はいはい」
「…ねえ、シカマル」
「あー?」
「休憩時間、ちょっと延長して遠回りして帰らない?」
「は?」
「散歩、しましょ。気分転換に」

めんどくさい、と言って断ろうとしたけれど、青い空に白い雲、そよぐ風に歌う緑。…目にしたら、その誘惑に自分でも驚くぐらいに惹かれてしまった。久しぶりにこういうものを目にした気がする。
空を高く飛ぶ鳥が目に入った。あの鳥は、何処から来て何処へ行くのだろうか。

「…なあ、サクラ」
「何?」
「鳥になりたいとか、思ったことあるか?」
「…」
「悪い、今の忘れろ」
「…あるわよ」
「…」
「私が鳥だったら、今すぐにサスケくんを追いかけるのに…って、昔、何回も思った。空から探せば、すぐに見つけられるんじゃないかな、ってずっと考えてた。でも、私は鳥じゃないから地上からあの人を…いろんなうわさに左右されながら探すことしかできなかった。ナルトについていくことしかできなくて、もどかしかった」
「…悪い、ヤなこと思い出させたな」
「別にいいわよ。今はちゃんとサスケくんも帰ってきたし」
「…」
「シカマルは…鳥になりたいの?」
「…さあな」
「…」
「ただ、あんな風に空を飛べたら…気持ちがいいだろうな、とは思う」
「シカマル…」
「一種の憧れだ。里も、家族も、仲間も、立場も、すべてを捨てて…鳥のように自由にどこへでも行ければ、それはある意味でとても幸せかもしれない。だが、現実は…オレは、何も捨てられずにこんなところで狭い部屋にこもって仕事をしているわけだ」
「…」
「んな顔するな。大丈夫だ。全部を捨てるなんてめんどくさいこと、オレがするわけないだろう」
「…うん」
「そろそろ戻らないと本気でやばいぞ」
「うん。帰りましょ」

サクラは、躊躇いがちにオレの手を握った。別にそんなことしなくてもオレはこの里から逃れられないのにな、と思いながらサクラの好きなようにさせていた。
オレは、アスマが守りたかったこの場所から逃げることなんて、できないのに。



それでも、時々考える。
鳥のように風に乗ってどこまでも飛ぶことができるのなら、それは何にも勝る幸福なのだろう、と。
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読書、昼寝
自己紹介:
更新はまったり遅いですが、徒然なるままに日記やら突発でSSやら書いていく所存ですのでどうぞヨロシク。
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