白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
Sun 10 , 00:19:06
2013/02
家康×政宗で現代。
・二人は幼なじみ
・家康が二つ年上
・家康→政宗
・事後
・いろいろ中途半端です。勢いだけで書いた。
・二人は幼なじみ
・家康が二つ年上
・家康→政宗
・事後
・いろいろ中途半端です。勢いだけで書いた。
もしも、それを愛というのだとすれば。
「おまえを愛しているんだ」
そう言って、俺を抱いたのは二つ年上の幼なじみだった。快活で気前のいい、豪快な男だ。懐が広く、大雑把なところもあるその男のことを、俺は嫌いではなかった。むしろ、好ましく思っていたと言ってもいい。ただし、それはあくまで幼なじみ、兄弟のような親友に対する行為だった。当然だ。俺は男で、相手も男なのだから。これで、どちらかが女であればその関係に色めいたものが混じるのも予想の範囲だったのかもしれない。だが、前述のように俺たちはどちらも男。少なくとも、俺はこいつに対して友情以外の愛情を抱いたことはなかった。
それなのに俺が家康に抱かれたのは、怖かったからだ。抵抗しても、家康はびくともしなかった。見たこともないような真摯な顔で俺を見て、捕らえて、離さなかった。怯え逃げようとする俺をつかまえて、ただ「愛しているんだ」と繰り返した。俺は、どうすればいいのかわからなくてただ泣いていた。
抵抗しても聞いてくれなかったから。力ではかなわないから。のしかかられれば体格で劣る俺では逃げ出せないから。様々な理由が頭を巡る。俺は家康の言葉に応えることはなかった。その背に腕を回すことも。そうやって、すべての責を家康に背負わせて、俺は、家康に抱かれた。
正直、俺たちはこれからどんな関係になればいいのかわからない。家康は俺を愛してるという。俺は家康を幼なじみとして、親友として、兄弟として、ならば愛していると言える。だが、家康の求める意味での愛をやつに返せる自信がない。もし、「おまえの顔なんて二度と見たくない」と言えば、家康は本当に俺の前から消えるだろう。妙なところで律儀なやつだから。しかし喉をつきかけたその言葉を飲み込んだのは、怖かったからだ。
昨晩は、見たこともない雄の顔で俺を蹂躙する家康が怖かった。だが、今、俺が恐れているのは、家康を失うことだ。彼の求める愛を返せるわけでもないのに、ただ失うことを恐れている。
父が死に、母に疎まれ、弟とも疎遠。失う辛さを俺は知っている。誰かに愛されることがどれほど尊く、幸福なことなのかを知っている。愛を奪われ、愛を拒まれ続けてきた俺は、与えられようとする愛を拒めるほど強くなかった。
「政宗、わしは…」
俺の顔をのぞき込む家康は、ただまっすぐな瞳をしている。それを見返す俺の目はきっと淀んでいる。様々な感情でぐちゃぐちゃの顔をしながらも美しい光を宿した家康の目は、俺にはまぶしすぎる。逃げるように目を閉じれば、疲労のためか睡魔が襲ってくる。
「何も…考えたくない」
家康の身体がこわばるのがわかった。それから、離れようとする気配を感じる。
「今は…眠りたい。いろんな事は…明日、考える」
離れようとしていた家康の動きが止まる。
「おまえも…今日は、寝ろ」
これから家康とどんな関係を築いていけばいいのかわからない。これまで積み上げた物はすべて壊れてしまうのだろうか。今までのように、兄弟のように屈託のない関係になど戻れないのだろうか。今日のことをきっかけに、俺はこの男を失うのだろうか。失うくらいなら、いっそ。いや、だが、俺は愛せるのだろうか。この俺が、誰かを。愛せないのならば、俺のエゴでこの男を傍に縛るのはあまりにも残酷ではないだろうか。
「政宗…。…愛している」
家康の唇が閉じた目蓋に触れた。政宗は何も言わず、それを受け止めた。政宗の隣に身体を横たえ、ためらった後に政宗を抱きしめる家康の腕も、ただ受け止めた。
失うことを恐れ、受け入れることもできない政宗は、ただ、与えられるすべてを受け止めることしかできなかった。
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更新はまったり遅いですが、徒然なるままに日記やら突発でSSやら書いていく所存ですのでどうぞヨロシク。
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