せめて笑って

・サナ→←ダテ
・戦国
・死ネタ
・伊達視点
・なんかちょっといつもの伊達と口調が違うかも？
・暗いです

あなたが好きでした。
本気でした。
最初で最後の恋でした。
誰にもいえない恋でした。
どこにも行けない恋でした。
墓場まで持っていくはずの思いでした。
実ることのない花でした。


「政宗殿…っ、某は、貴殿のことが……っ」


ああ、そんな顔をしないで欲しい。
どうか笑って欲しい。
俺の恋したあの日のままの、強い瞳と裏腹のどこかあどけない幼い顔で。

俺のことで泣いてくれるのは不謹慎だけど嬉しい。
おまえのその涙が俺のためだと思うと胸が苦しい。

ごめん、ごめん、ごめんなさい。
俺は恋をしていました。
一騎打ちの間中、おまえに見とれていました。
純粋な思いで俺に向かってくれたおまえへの、それは裏切りだと思っていました。

でも、違うんだな。
おまえも、同じ想いでいてくれたんだな。
おまえも、俺を想ってくれていたんだな。

それだけで俺は幸福です。
浅ましいこの想いをたとえ一瞬であろうともかなえることができて、俺は幸福です。
今、ここで逝くことになんのためらいもありません。
残していってごめんなさい。
遺して逝ってごめんなさい。
どうしようもなく身勝手で浅ましい俺をゆるしてくれとはいいません。
でも、せめて。
ここで逝かねばならない俺を哀れと想うのなら、せめて笑ってはくれないだろうか。