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白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
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Sat 07 , 23:37:43
2009/03
(サナダテ 戦国)

手を伸ばす。
手が触れる。
触れたと同時に、手は振り払われた。


「…ひどいでござる」
恨めしそうに二つ年上の情人を見やる幸村にくつりと笑って今度は政宗が幸村に手を伸ばした。
髪に触れ、なだめるように幾度か梳いてから手を下ろして頬に触れ、唇をなぞる。政宗の男にしては細く白く、けれども刀を操るために節くれだって決して女のものとは見紛いようのない手はすーっと顎のラインをたどるように降りていき、のど仏を撫で、首筋に沿わされたところでようやく止まった。
「なあ、真田幸村」
閨に二人で篭った時のような甘い声で政宗が二つ年下の情人を呼ぶ。
「この手がいつか…」
指に力が込められ、幸村は息がつまり苦しそうにうめきながらも政宗をひたと見据る。その表情はどこか陶酔しているようにも見え、政宗もうっとりと微笑んだ。
「あんたの命を奪う」
手にこめられた力はそのままに、政宗が秀麗な面を近づけて幸村の唇にそっと触れるだけの口付けを贈った。
「それとも…」
手を首にかけたまま力を抜き、もう一方の手で幸村の手を探り、指を絡めた。
「この手が、俺の命を奪うのが先か?」

急に入ってきた酸素に軽く咳き込みながら、幸村が政宗に握られたのと逆の手をもう一度伸ばす。
今度は振り払われることなく手は政宗にたどり着いた。
政宗がそうしているように幸村も政宗の首にそっと手をかける。
「某がそなたの命を奪い、そなたが某の命を奪う」
目を合わせたままゆっくりと顔を近づける。
政宗も目を閉じることなく、じっと幸村の顔が近づくのを見ていた。
「その日が、楽しみでござる」
言うと同時に視線を絡めたまま口付け、押し倒した。


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