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白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
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Thu 15 , 23:32:21
2007/11
あたしたちが結婚した日、シカマルは式のぎりぎりの時間までアスマ先生のお墓にいた。
そこでシカマルが何を思っていたのか、あたしは知らない。


あの時、あたしは不安だった。
もしかして、シカマルはあたしのプロポーズにオーケーしたのを後悔してるんじゃないか、って。
このまま、どこか遠くへ行ってしまうんじゃないか、って。
信じていなかったのではない。
信じきれなかったのだ。
あたしにはシカマルを信じきる強さがなくて、それがとても情けなかった。

でも、シカマルはちゃんと来てくれた。
急いで着替えて、すっかり準備の整ったあたしを見て少し微笑んだ。

「似合ってるじゃねぇか」

その一言に、あたしが泣きそうになったことをシカマルは知らない。
ほめてくれたのが嬉しかった(だって、シカマルは嘘をつかないから)。
来てくれたのが嬉しかった(だって、シカマルが愛してるのはアスマ先生だって知ってるから)。
シカマルを疑った自分を殺したくなった(だって、シカマルはちゃんと来てくれたのに)。


長ったらしい神父のセリフを欠伸をかみ殺しながら聞いているシカマルを横目で見ながら、あたしはアスマ先生のことを考えた。
あの時、アスマ先生は死ななかったら今頃は紅先生と夫婦になっていたはず。
二人が結婚したら、シカマルはどうしたのだろうか。
それでもアスマ先生を愛し続けるのだろうか。
それとも、諦めるのだろうか。
そしたら、あたしのことを愛してくれたのだろうか。
(どうして、今…こんなこと考えてんだろ)

「では、誓いのキスを」

その言葉に向き合うと、目が合った。
とっさにどういう表情をしていいのかわからなかった。
シカマルは、あたしの目を見て照れたような表情で小さく笑った。
シカマルの黒い瞳に映ったあたしは、この上なく幸せそうな表情で笑っていた。

(そっか…)

ごちゃごちゃいろんなこと考えてたけど、それでもあたしはやっぱり嬉しいのだ。
シカマルの隣にいるちゃんとした理由がこれでできる。
幼馴染なんていう不確かで曖昧な関係じゃなく、夫婦として一緒に入れる。
(それって、すごいことよね)

シカマルの“妻”は、世界中であたし一人なんだから。

そう思ったら、今更ながらに幸せが押し寄せてきた。
優しい触れるだけのキスをしながら、あたしはきっと今世界で一番幸せな女だ、と思った。

アスマ先生のことは、いつの間にか思考の外に追いやられていた。
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