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白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
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Sat 10 , 02:35:33
2007/11
猫の死体を見た。
バスの窓からちらりと見えただけだけど、内臓が飛び出ていてキレイな死体ではなかった。
道路の真ん中だった。
「あ…」
思わず声を上げると、隣にいた友人が聞いた。
「どうしたの?」
「今、猫の…死体が」
小さく呟くと、彼女は素早く言った。
「かわいそうって思っちゃダメ」
「?」
よくある話。
野良猫を見たとて拾ってやるわけでもなし、いちいちそんなことを思っていてはいけないのかもしれない。
猫が、好きだ。
でも拾ってやることはできない。
あの、無残に息絶えた猫を葬ってやることも、しない。
「同情しちゃうと、その猫の霊が乗り移るんだって」
カミサマとか幽霊とか、信じていないくせに。
そういうことだけはやたらに気にする。
それはいったいなんなのだろう。

随分前に黒猫の死体をみたことを思い出した。
ただ、ぐったりと倒れていた黒猫。
次の日には、もうその死体はなくなっていた。

今日見たあの子も、誰かが連れて行くのかしら。
ちゃんと、どこかに埋めてあげてくれるのかしら。
(きっと、ムリなんだろうな)
でも、せめて。
あの道の真ん中で倒れていたかわいそうなあの子がこれ以上傷つけられる前に。
少しでも、早く。
あの場所から、連れて行ってあげてほしい。



次の日は、交通事故の現場を見た。
男の人がぐったり倒れていた。
真っ青で、近くに自転車が倒れていた。
多分、たまたまそのとき近くにいただけだろう人が携帯電話を耳に押し当てていた。
救急車を呼んでいるのだ。
でも、その場所は病院から歩いて2分ほどの場所。
不便だな。
たったこれだけの距離しかないのに、救急車が来て彼を病院に連れて行ってくれるまでにどれほどの時間がかかるだろう。
私は今日もバスに乗っていて、バスの窓からその様子をちらりと見ただけだった。
(あの人は…無事だっただろうか)
朝、いってきますと家を出て。
そして二度と帰ってこなかった。
そんな哀しいことは、いやだ。
彼の家族のためにも、そんな哀しいことはいやだ。
(どうか…無事でいますように)

それにしても、不思議なものだ。
たとえば、今朝のように誰か“人間”が目の前で車に轢かれたら赤の他人であろうとも急いで救急車を呼んでそばにいるだろう。
だけど、車に轢かれた猫はそのままにされるのだ。
私だって、目の前で猫が轢かれたとしてもきっと何もしてやれない。
命のない体に触れるのはひどく勇気がいることのように思えるし、抱き上げた身体をどうすればいいの?
公園に、埋める?
その上を子どもたちがふみつけるだろう。
そんなのは、いやだ。
何もしてやれない。

昨日、猫が倒れていた場所は今朝はきれいになっていた。
あの場所で猫が倒れていたことをいったい何人が覚えているだろう。
(今度生まれてくるのなら、車の少ない場所がいいね)

どこにいったんだろう。
あの、猫。
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