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白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
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Sun 25 , 00:05:19
2007/11
BASARA(小十郎+梵天丸)

いつからこの方は泣かないようになったのだったか。

『一人は寂しいんだ』

そう言って、泣きそうな顔で俺の布団に入ってきた小さな童を思い出す。
まだ、梵天丸様と呼ばれていたころだ。

『一人で寝ていると、怖い妖がたくさん、梵天の布団に乗っかるんだ。お部屋の隅で、笑うんだ…』

そう言って、幼い顔をくしゃくしゃにゆがめて、今にも泣きそうに目に涙を浮かべているのに、決して泣かなかった小さな童。

『まったく…』
『…ダメか?』

俺はあのころから、あの人の目に弱かった。
ひとつきりのその左目は、言葉よりも雄弁にすべてを語る。

『今から部屋に戻るまでに風邪をひいてしまいますね』

ため息混じりにそう言って布団の端をめくると、途端に笑顔になって俺の横に入り込み、小さな身体を懸命に俺に寄せてほっとしたように笑う。

『今夜だけですよ?』
『小十郎、ありがとう、大好きだ』

本当に嬉しそうに笑うのだ。

病を乗り越えたあの方はその引き換えとでも言うかのように右目を失った。
そして、それにより母親に手ひどく拒絶された。
それ以来、人に拒まれることを極端に恐れていることを知っている。
そうでなくとも、この唯一と決めた主を一人にできるわけがない。

あまり甘やかすことはよくないとわかっているが、どうにも俺はこの童に弱い。
それでも、本当に心を許した者にしかわがままを言わないのを知っているから。
頼られるのが、すごくすごく嬉しいから。

「…おやすみなさい、小さな俺の主」

既に眠りの世界へ旅立った童の滑らかな頬を軽く撫でてから、俺もその暖かい小さな身体の隣で眠りについた。
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更新はまったり遅いですが、徒然なるままに日記やら突発でSSやら書いていく所存ですのでどうぞヨロシク。
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