白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
Sun 01 , 23:57:36
2012/07
過去ねためもさるべーじ企画
・真田兄弟
・さなだて前提?
・真田兄捏造
真田兄に猛烈に夢を見ています。
・真田兄弟
・さなだて前提?
・真田兄捏造
真田兄に猛烈に夢を見ています。
「兄上!」
ひどく、驚いた。頬を紅潮させ、喜びをおさえきれないとでもいうかのように口元を緩ませた弟。鬼ではない。年相応の、あるいはそれよりも幼くさえある少年がそこにはいた。
「兄上」
「…どうした、源次郎」
問い返せばほころぶように返される笑顔。
「兄上、某は竜にあいました」
「竜?」
「はい。蒼い稲光を身にまとう、見たこともないほどに美しい竜にござった」
うっとりと、夢を見るかのように。憧れを抱く少年のように。
(始めてみる、表情)
何かが変わり始めている。
いくさしか知らぬ弟。花の香りも、鳥のさえずりも、治める領地の美しさすらも知らず、見向きもせず。御館様の上洛のため、と。たちふさがる者を容赦なく切捨て、ためらいなく命を奪う。
切り捨てた命の重さも知らず、血にまみれた姿でわらう、赤い鬼。
(このままでは、いけない)
(このままでは…)
源次郎は、本当の鬼になってしまう。
「兄上、あの花はなんという名でござろうか」
「え?」
「たいそう美しい花だ。ぜひ名を知りたい」
花になど興味のなかった弟。
「あれは…芙蓉という花だ」
「芙蓉…」
「ああ、見目だけでなく香りもうるわしい花だ」
人間らしさを少しずつ手に入れている弟。目を細め、花を愛でる。
(こんな源次郎を、見たかった
「あの方に、よく似ている」
年相応のその表情には、鬼の気配の名残もない。
(青き竜殿に…限りのない、感謝を)
たとえ、二人の関係がどのようなものになったとしてもかまわない。結果、源次郎が深く傷ついたとしても。
鬼であり続けるよりも、傷つく心を持った人であって欲しい。
それが、この愚かな兄の願いだ。
ひどく、驚いた。頬を紅潮させ、喜びをおさえきれないとでもいうかのように口元を緩ませた弟。鬼ではない。年相応の、あるいはそれよりも幼くさえある少年がそこにはいた。
「兄上」
「…どうした、源次郎」
問い返せばほころぶように返される笑顔。
「兄上、某は竜にあいました」
「竜?」
「はい。蒼い稲光を身にまとう、見たこともないほどに美しい竜にござった」
うっとりと、夢を見るかのように。憧れを抱く少年のように。
(始めてみる、表情)
何かが変わり始めている。
いくさしか知らぬ弟。花の香りも、鳥のさえずりも、治める領地の美しさすらも知らず、見向きもせず。御館様の上洛のため、と。たちふさがる者を容赦なく切捨て、ためらいなく命を奪う。
切り捨てた命の重さも知らず、血にまみれた姿でわらう、赤い鬼。
(このままでは、いけない)
(このままでは…)
源次郎は、本当の鬼になってしまう。
「兄上、あの花はなんという名でござろうか」
「え?」
「たいそう美しい花だ。ぜひ名を知りたい」
花になど興味のなかった弟。
「あれは…芙蓉という花だ」
「芙蓉…」
「ああ、見目だけでなく香りもうるわしい花だ」
人間らしさを少しずつ手に入れている弟。目を細め、花を愛でる。
(こんな源次郎を、見たかった
「あの方に、よく似ている」
年相応のその表情には、鬼の気配の名残もない。
(青き竜殿に…限りのない、感謝を)
たとえ、二人の関係がどのようなものになったとしてもかまわない。結果、源次郎が深く傷ついたとしても。
鬼であり続けるよりも、傷つく心を持った人であって欲しい。
それが、この愚かな兄の願いだ。
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更新はまったり遅いですが、徒然なるままに日記やら突発でSSやら書いていく所存ですのでどうぞヨロシク。
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