白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
Sun 01 , 22:42:48
2012/07
過去ねためもさるべーじ企画。
・さなだて
・戦国
・明るくない
伊達さんが鬱々としている話。
あまりにも昔のメモすぎたうえに、中途半端なところで終わっていたのを無理やり終わらせたので迷走してしまっている感がすごい。
・さなだて
・戦国
・明るくない
伊達さんが鬱々としている話。
あまりにも昔のメモすぎたうえに、中途半端なところで終わっていたのを無理やり終わらせたので迷走してしまっている感がすごい。
「この花はなんと言うのでござるか」
「あの鳥はなんと言うのでござるか」
驚くほどに無邪気。いくさばでの狂気はどこに行った?
「政宗殿は、何でも知っておられる」
「Ah?」
「花も鳥も、舞も茶も、何でも」
少し眉を落として笑う。少し、幼い顔。
「某はいくさしか知らず、槍をふるうことしかできぬのに、政宗殿は何でも知っておられる。何でもできる。先にいただいた団子も、大変美味しゅうござった」
「…買いかぶりすぎだ」
口の端を持ち上げて皮肉に笑う。俺はお前のように素直には笑えない。
「そんなに、たいしたものじゃねえ」
馬鹿にされたくない、なめられたくない、付け入るすきなど与えない。
まわりの反対も、誹謗も無視して、当主に俺を据えた父上。育て守り愛してくれた喜多や小十郎。
彼らが間違っていると言われたくなかった。
そうやって、周りの目ばかりをきにして生きてきた。
歌を詠むのも、茶を立てるのも、舞を舞うのも、好きだった。
目につくものに片端から手をだした。
もともと器用な性質だったのか、がむしゃらに努力すれば何でも人並み以上にできた。
皆が俺を誉めそやす。何かに打ち込む時間は楽しい。けれど、それも、すぐに虚しさに変わるのはなぜだろう。満たされない俺の心。俺の心に広がっていくこの空虚な穴はどうすれば。
いくさばでの荒ぶる熱だけが、俺の乾きを癒してくれる。
人を殺すのが、命を奪うのはいやだと言いながら、人を殺すことでしか自分を認められない。
俺の居場所がいくさばにしかないのなら、俺はいくさばに生きる。
居場所が欲しい。
生を感じたい。
ただ、俺のことを認めて欲しい。
「歌を詠むことも」
「…真田?」
思考に落ちていた俺の手をふと包む熱いもの。顔を上げれば、真田幸村が小さく笑んでいた。
「茶を立てることも、舞を舞うことも、料理も、某にはできませぬ。鳥の名も、花の名も、某は知りませぬ」
「…」
「某ができるのは、いくさばで槍を振るうことのみ。それを恥とは思いませぬが…」
「…」
「敵を屠り道を開くことは某の誇り。しかし、壊すことでしか何かを作れない某に比して、政宗殿は守ることも作ることもできる。この手は…某と熱くぶつかり合う強い手だ。けれど、いくさばを離れればなんと美しい…頼もしい、手でござる」
涙が出そうになった。
何が満たされたわけでもない。報われたわけでもない。
けれど、ただ、涙が出そうだった。
真田幸村の前で泣くのは悔しくて、つんと熱くなる瞼に気付かないふりをして顔を挙げれば俺を見つめる真田と視線が絡む。振ってくる笑みがまぶしくて目を細めれば、目じりから涙が落ちた。
ああ、そうだった。
真田幸村は敵国の人間。こんな風にいくさば以外での関わりを持つべきではなかった。
いくさばで槍を振るうばかりのこの男の言葉に、こんなに満たされる己が愚かで、哀れだった。
「…買いかぶりすぎだ」
自嘲する言葉はあまりに弱くて、俺の手を包む熱を振り払えない己が、疎ましかった。
「あの鳥はなんと言うのでござるか」
驚くほどに無邪気。いくさばでの狂気はどこに行った?
「政宗殿は、何でも知っておられる」
「Ah?」
「花も鳥も、舞も茶も、何でも」
少し眉を落として笑う。少し、幼い顔。
「某はいくさしか知らず、槍をふるうことしかできぬのに、政宗殿は何でも知っておられる。何でもできる。先にいただいた団子も、大変美味しゅうござった」
「…買いかぶりすぎだ」
口の端を持ち上げて皮肉に笑う。俺はお前のように素直には笑えない。
「そんなに、たいしたものじゃねえ」
馬鹿にされたくない、なめられたくない、付け入るすきなど与えない。
まわりの反対も、誹謗も無視して、当主に俺を据えた父上。育て守り愛してくれた喜多や小十郎。
彼らが間違っていると言われたくなかった。
そうやって、周りの目ばかりをきにして生きてきた。
歌を詠むのも、茶を立てるのも、舞を舞うのも、好きだった。
目につくものに片端から手をだした。
もともと器用な性質だったのか、がむしゃらに努力すれば何でも人並み以上にできた。
皆が俺を誉めそやす。何かに打ち込む時間は楽しい。けれど、それも、すぐに虚しさに変わるのはなぜだろう。満たされない俺の心。俺の心に広がっていくこの空虚な穴はどうすれば。
いくさばでの荒ぶる熱だけが、俺の乾きを癒してくれる。
人を殺すのが、命を奪うのはいやだと言いながら、人を殺すことでしか自分を認められない。
俺の居場所がいくさばにしかないのなら、俺はいくさばに生きる。
居場所が欲しい。
生を感じたい。
ただ、俺のことを認めて欲しい。
「歌を詠むことも」
「…真田?」
思考に落ちていた俺の手をふと包む熱いもの。顔を上げれば、真田幸村が小さく笑んでいた。
「茶を立てることも、舞を舞うことも、料理も、某にはできませぬ。鳥の名も、花の名も、某は知りませぬ」
「…」
「某ができるのは、いくさばで槍を振るうことのみ。それを恥とは思いませぬが…」
「…」
「敵を屠り道を開くことは某の誇り。しかし、壊すことでしか何かを作れない某に比して、政宗殿は守ることも作ることもできる。この手は…某と熱くぶつかり合う強い手だ。けれど、いくさばを離れればなんと美しい…頼もしい、手でござる」
涙が出そうになった。
何が満たされたわけでもない。報われたわけでもない。
けれど、ただ、涙が出そうだった。
真田幸村の前で泣くのは悔しくて、つんと熱くなる瞼に気付かないふりをして顔を挙げれば俺を見つめる真田と視線が絡む。振ってくる笑みがまぶしくて目を細めれば、目じりから涙が落ちた。
ああ、そうだった。
真田幸村は敵国の人間。こんな風にいくさば以外での関わりを持つべきではなかった。
いくさばで槍を振るうばかりのこの男の言葉に、こんなに満たされる己が愚かで、哀れだった。
「…買いかぶりすぎだ」
自嘲する言葉はあまりに弱くて、俺の手を包む熱を振り払えない己が、疎ましかった。
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