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白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
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2024/12
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Wed 28 , 22:00:36
2009/10
・佐助→政宗
・戦国
・明るくはないです
・佐助の独白?語り?です
・死ネタではないけれどそう読めなくもないかもしれないです

もし、俺が死んだとしたら。

佐助はぼんやり煌々と冴え渡る弓張り月を見つめながら思った。

あのきれいな人は涙を流してくれるだろうか。

脳裏に描くのは無二と戴く主ではなく、主の宿敵にして奥州の王である青年の姿。文を届けたり偵察をしたり、幾度となく訪れた奥州。彼はいつもきれいで凛としていて、そして少し哀しくて。

(ああ、まるで、今宵の月のよう)

いつだって目を奪われるその鮮烈な存在。
佐助の主たる幸村が光の中なおも輝く太陽だとしたら、彼は闇の中自ら光る月のようだ。
闇にも決して穢されぬその光がまばゆくて、いとしくて、憎くて。

だから佐助は彼に会いに行くときはできうる限り朔を選ぶ。月のない新月の夜ならば、彼を佐助の持つ深淵の闇へと引きずり込むことができるかもしれないと錯覚できるから。

(嗚呼、きっと)
彼は泣かないだろう。
その両腕に抱えきれないほどのものを守るために刀をふるい戦陣をかけぬく彼は、余所の忍などのために流す涙を持たないだろう。

けれど。
弦月の晩に佐助が彼を想うように、新月の晩にはきっとあんなやつもいた、と思い出してくれる。そして。

『晩酌に付き合えよ』
佐助の気配に気づいた彼がそう言って笑ったことを思い出して、酒の一杯も手向けてくれるかもしれない。


それは、とても、幸せな想像で。
佐助はそっとわらった。
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更新はまったり遅いですが、徒然なるままに日記やら突発でSSやら書いていく所存ですのでどうぞヨロシク。
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