忍者ブログ
白鳥は 哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6
Tue 29 , 01:55:39
2025/04
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Sun 09 , 21:25:09
2007/09
「ただいま」

聞こえた声に振り返れば、シカマルが立っていた。相変わらず、やる気のなさそうな雰囲気。
「おかえりなさい」
それでも、一緒にいられることが嬉しくてあたしは微笑む。
「ん…」
シカマルは冷蔵庫からお茶を取り出して飲むと、自分の部屋へ行ってしまった。

今のあたしたちは夫婦だから、一応寝室は同じ。でも、それ以外にシカマルもあたしも自分の部屋を持っている。勝手に入ってはいけない、完全にプライベートな空間。あたしは、未だにシカマルの部屋に入ったことがない。シカマルもあたしの部屋に入ったことはないけれど、それはシカマルがあたしの部屋に興味がないからだ。あたしは、入りたくても入らせてもらえない。
意味は全然違うのに結果が同じというのは、少し笑える。


シカマルは、まだアスマ先生のことを愛している。
それは、きっとあたしには想像もつかないようなひたむきさで、想い続けている。
これから先、どれほどの時間がたとうとも、あたしを一番に愛してくれることは、ない。
否、それどころかあたしのことを恋愛感情で見てくれることは、ないのだ。
本人にはっきりそういわれたし、それでもかまわないと言ったのはあたしだ。
それでも、シカマルがアスマ先生のことを思っているとき、あたしは泣きたくてしかたがなくなる。

『いのは、それでいいの?』
昼間のサクラの言葉を思い出す。
「いいわけ…ないじゃない」
でも、あたしがNoと言えばこの関係はそこで終わってしまうから。
サクラに言った言葉は嘘じゃないけど、本当でもない。
本当は、一番に思ってほしい。
いつまでも一方通行な思いは、ただ苦しいだけ。
PR
Thu 06 , 01:29:27
2007/09
「ねえ、シカマルとアスマ先生って、いつも二人で何してるの?」

好奇心と嫉妬心から、あたしは聞かずにはいられなかった。
「は?」
アスマ先生は、任務完了の書類を提出しにいっていて、このあとアスマ先生のところに行くのだというシカマルは、いつものように雲を眺めていた。
チョウジは父親と約束がある、ということで先に帰ってしまい、今は二人きりだった。ちょっと前までは意識したこともなかったけれど、想いを自覚した今はすごくドキドキして困る。

「何って…まあ、色々」
「色々って、何?」
「特に、何もしねぇけど…。昼寝したり、巻物見せてもらったり、日向ぼっこしたり…ああ、最近は将棋やるな」
「将棋?」

シカマルが、思い出したのか楽しそうに頬を緩める。
柔らかい表情。
今、シカマルと話してるのはあたしなのに、この表情を作ったのはあたしじゃなくてアスマ先生なんだ。
悔しい。
嫉妬心に胸がツキンと痛む。

「楽しいの?」
「まあな」
「どの辺が?」
「どの辺って…勝てるし」
「そうなの?」
「一度も負けたことねぇよ」
自慢げな響きに思わず苦笑する。
めんどくさがりだし、別に勝ちにこだわるタイプでもないけど、それでもやっぱり勝てるのは嬉しいのだろう。年相応な無邪気な顔。

「アスマ先生、弱いの?」
「さあ?他の人とやったことねぇからわかんねぇけど…別に、弱くはないんじゃねぇか?」
「じゃ、シカマルが強いんだ」
「アスマよりはな」
「自分よりも弱い人とやってて、楽しいものなの?」
「楽しくないだろうな、普通は。でも…将棋だと、オレとアスマで対等にやれるし、オレが勝てるし…。あいつ、何回負けても懲りずに『もう一回』って挑んでくるんだぜ」

(聞かなければよかった)
こんなに嬉しそうにアスマ先生との時間を語るシカマルをみたくない。
そう思うと同時に、自己嫌悪に陥った。
どれだけわがままで、心が狭くて、バカなんだろう、あたしは。
どうして、こんなに。

「でも…そうだな、一番の理由は…アスマとやるから楽しいんだろうな、きっと。多分、オレがすきなのは“将棋”じゃなくて、“アスマとやる将棋”なんだろう。アスマがもっと将棋が弱くて、たとえば相手にならないほどに弱かったとしても、オレはきっとアスマ以外の相手と将棋をやろうとは思わないだろうな」

どうして、そんなにキレイに笑うの。

「アスマのそばは、居心地がいいから」

ああ、本当に。
聞かなければよかった。
Wed 05 , 00:05:12
2007/09
「あたし、嫉妬してるの?」

多分ね、と言ってチョウジは苦笑した。
「なんで?」
言ってから、自分でも間抜けな質問だと思った。
「なんでって…なんでだと思う?」
「シカマルのことが………好き、だから?」
「多分ね」

「…」
「…」
「でも、シカマルは…あたしのこと、そういう意味では絶対に見ないよね」
チョウジは、どうこたえようか少し考えてからゆっくりとこたえた。
「多分ね」
こういうところで下手な気休めを言わないあたりが、チョウジとシカマルは似ている。そして多分、アスマ先生も。


あたしたちは、随分長いこと空を眺めていた。
頭の中がぼんやりして、何を考えていいのかもわからなかった。
「やだな」
だから、呟いたときも、それが自分の口から出た言葉だということに長いこと気づかなかった。
「何が?」
チョウジに続きを促されて、初めて気がついた。
「…え?」
「どうしたの、いの」
「今、あたしが言った?」
「うん」
「やだな、って」
「うん」
「気づかなかった」
「何、それ」
夕日に照らされたチョウジに横顔が優しく笑う。

「…多分」
「ん?」
「気づきたくなかったのよ」
「ああ」
「だって、どんなに頑張ってもあたしはシカマルにとって幼馴染でしかないから。…アスマ先生に、勝てないから」
「だから?」
「うん」
今度は、チョウジが考え込む番だった。

「ありきたりな言葉だけどさ」
眉にしわを寄せて考えながら、ぽつりとチョウジが言った。
「うん」
「好きっていう気持ちはさ。勝ち負けじゃないよ」
「うん」
「好きになってもらいたいから好きになるんじゃなくて、好きだから好きなんだよ」
「うん」
「だってさ」
「うん」
「…」
もう一度、チョウジは考え込んだ。
いや、考えているというよりも、躊躇っているように見えた。
チョウジがあたしが口を開くのを待っていてくれたように、今度はあたしがチョウジの言葉を待った。

「だって、ボク、いののことが好きだからさ」
「え…」
「でも、いのがシカマルのこと好きでも、負けた、なんて思わないし」
「…」
「なんか、もう…家族みたいに、大切だからさ。いののこともシカマルのことも。だから、幸せでいてくれるならいいや、っていう感じの好きになってるんだけど」
「…チョウジ」
「でも、ボクがいののこと好きだってことに、変わりはないし」
「…」
「自分で自分の気持ちを否定したら、そこで終わっちゃうからさ」
「…うん」
「気づかないほうがよかった、なんて言わないでよ」
「…そうね」

立ち上がって、チョウジに背を向けた。
ちょっと泣きそうでかっこ悪かったから。

「チョウジ」
「うん」
「ありがと」
「うん」

チョウジが立ち上がるのが気配でわかった。
「いの」
「…」
「帰ろっか」

今、振り向いたら泣いちゃう。
だから、黙ってた。
チョウジは何も言わないで待っていてくれる。

「…うん」

やっと落ち着いて振り返ると、チョウジはとても穏やかな顔をしていて。
落ち着いたはずなのに、また泣きそうになってちょっと困った。

(チョウジのことを好きになったんだったらよかったのに)

それでも、あたしはシカマルのことが好きなんだ。
きっと、誰よりも。
気づいたばかりの想いは、驚くほどの存在感をあたしの中で主張していた。
(多分、ずっと好きだったんだな。目をそらしてただけで)

「帰ろう」
もう一度、チョウジがそっとつぶやいた。
「うん」
もう一度、あたしもうなずいた。

目の前のこの幼馴染を、初めてかっこいいと思った。

(チョウジ、ごめんね。ありがとう)
Mon 03 , 14:56:50
2007/09
シカマルがあたしたちと一緒にいる時間が減った。
その代わりに、アスマ先生と一緒にいる。

「…ねぇ」
あたしとチョウジは、二人だった。
いつもならシカマルも一緒にいて、三人で何をするでもなくだらだらと一日を過ごしていたのに。なのに、シカマルはここにいない。今日もアスマ先生のところにいってしまった。
「ん?どうしたの、いの」
珍しくお菓子を食べていないチョウジが、あたしのほうを見て優しく笑いかけた。
「シカマル…来ないね」
「うん。アスマ先生と約束してるって言ってたからね」
「うん…。でも、ねえ、チョウジ」
「何?」
「寂しくない?いつも一緒にいたのに」
「寂しくないって言ったら嘘だけど、でも、いいよ」
「どうして?」
「シカマルが、嬉しそうだったから」
「…」

いつもシカマルがそうしていたように、空を眺める。
白い雲がぽつんと浮かんでいるだけの光景は、すぐに飽きてしまった。
(つまんない)
いつもなら心安らぐ大好きな時間なのに、なんだか今日はとても空虚な時間に思えた。
(あたし、何やってるんだろ)

「いのは…」
帰ろうか、と考えているときに不意に声をかけられてびっくりした。
「え?」
「いのは、シカマルのことがすきなんだね」
チョウジは、いつものように優しい笑みを浮かべている。
「そりゃ…好きよ。だって、大切な幼馴染じゃないの」
「そうだね」
「もちろん、チョウジのことも好きだし大切よ?」
「うん。ボクも、いのとシカマルのことが大好きだし、大切だよ。心からね」
「知ってるわ」
「でもね、いの。ボクが今言いたいのは、そういう意味じゃなくって…」
「?」
チョウジが何を言いたいのか、わからなかった。
でも、チョウジは他人の機微に聡いから、もしかしたらあたしには見えていない何かも見えているのかもしれない、と思った。
でも、それを知りたくないとも、心のどこかで思った。

「ねえ、いの。シカマルに幸せになってほしい?」
「もちろん」
「じゃあ、どうしてシカマルに特別な人ができたのに嬉しそうじゃないの?」
「あ…。…わかんない。どうしてかしら」
「シカマルのこと、好き?」
「ええ」
「アスマ先生のこと、好き?」
「ええ」
「じゃあ、二人が一緒にいるのは?」
「…多分、好きじゃない」
チョウジの問いに誘導されるようにたどり着いてしまったこたえに、愕然とした。

「あたし、嫉妬してるの?」
Sun 02 , 18:50:17
2007/09
それからもシカマルとアスマ先生は、どんどん互いの深いところまで許しあうようになっていった。
なんていうか…空気が、違った。
アスマ先生は適当そうに見えて、その実、すごく人を区別している。たいていの人には表面しか見せていない。
表面だけの付き合いを好む人なんだと思っていた。
相手を深いところには立ち入らせないかわりに、自分も相手の深いところには手を出さない。
そういう人だった。

シカマルもそういうタイプで、でも一度気を許すと、とことんまでその相手には甘くなっちゃうの。その典型的な例が、あたしとチョウジ。
チョウジとシカマルなら、男の子と同士だし、幼馴染じゃなくても、きっと仲良くなっただろう。
でも、あたしはきっと、幼馴染じゃなかったらシカマルの近くには入れなかったと思う。幼馴染じゃなかったら、あたしはシカマルの嫌いなタイプだと思う。うるさくて、ミーハーで、落ち着きがなくて。
あたしがどれだけうるさくしても、シカマルを振り回しても、決してあたしを嫌わないのは、あたしがシカマルの幼馴染で、物心つくよりも前からずっと一緒にいて、シカマルの内側に否応なしに入っていっちゃった存在だから。

でも、アスマ先生はそんなあたしも、シカマルの親友のチョウジも入っていけないようなシカマルの深い深いところを許されている。

心の中にはいくつもドアがあって、あたしもチョウジもその途中までしか、入らせてもらえない。その先のドアは、どうやっても、決して開かなかった。だから、誰に対しても開かないのだと思ってた。
それなのに、出会ったばっかりのアスマ先生は、そのドアをひょいと開けて、あたしたちが知らないような奥にまで入っていってしまう。
それが、悔しかった。

だから、あたしはシカマルのこともアスマ先生のことも大好きだけど、二人が一緒にいるのを見るのはあまり好きではなかった。
Sat 01 , 19:43:54
2007/09
あの二人がどういう関係だったのか、あたしには未だにわからない。
ただ、互いのことをとても大切に思っていたのだということだけは知っていた。


二人は、どこか似ていた。

「ねえ、シカマルとアスマ先生ってさ、仲いいよね」
「あー?」
任務が終わって、いつものように茶屋で団子を食べていた(もちろん、先生のおごりで)時に、ふと言ってみた。
シカマルはアスマ先生の背中にもたれてうとうととしていた。
(猫みたい)
意外に人見知りの激しいシカマルが、アスマ先生には最初からなついていた。いや、なついていたという言い方は正しくないかもしれない。気を許していた、とでも表現すればいいのだろうか。とにかく、あたしはその様子に内心ひどく驚いていたし、チョウジも驚いていた。

「仲いいっつーか…まあ、確かに気に入ってるけどな。こいつのことは」
シカマルはこたえるつもりがないらしく、あたしの言葉にうっすらと開いた目をもう一度閉じて全身をアスマ先生の背に預けている。
「アスマ先生ってシカマルには甘いよね」
団子を頬張りながら、チョウジがのんびりと呟く。
「そうか?」
「自覚ないの?」
「…おまえらにも、十分甘いと思うんだが」
「甘さが違うの」
「は?」
アスマ先生は、本気でわかってないみたい。多分、シカマルも気づいていない。
出会って、まだ1ヶ月ちょっと。
既に、シカマルもアスマ先生も互いを特別に見ていると思うのは、あたしだけだろうか。

「んー…」

アスマ先生が動いたのが気に入らないのか、シカマルが不満そうにごそごそ動いた。
「お、悪い」
そう言ってまたさっきみたいに座りなおすと、シカマルももう一度居心地のいい体勢を探して、眠った。

誰かのそばで、こんなにも安心しきって眠るシカマルを、初めて見た。
Fri 31 , 23:18:33
2007/08
きっと、シカマルはあたしを恋愛感情で好きなわけではない。
でも、それでもかまわないと私が思っているから。
だから、あたしたちは夫婦になったのだ。



「ねえ、あんたはそれでいいの?」
「何で?」
「だって…それで、あんたは幸せなの?」

話の流れでそれを口にしたとき、サクラは少しだけ泣きそうな顔でそう言った。

「幸せよ」
「…」
「どうしてそんなことを思うの?」
「どうしてって…」

わかってる。
きっと、サクラの方が正しいのだ。でも、正しいことがいつも正しいとは限らないだけ。

「サクラは…今、幸せなのね」
「え…」
「サスケ君のことを愛していて、サスケ君に愛されて、幸せなのね」
「…そうね。だから、あんたたちのことが気になるのかもしれない」

サクラが、複雑そうに眉を寄せた。なんて言えばいいのか考えているのだろう。

「いのは…いいの?」
「よくないわよ」
「…」
「でも、これでいいの。そりゃあね、愛したらその分愛し返してほしいけど、ムリだもの」
「どうして…」
「ねえ、サクラ。あんた、あの雲を捕まえる方法を知ってる?知らないでしょ。それと同じことなのよ。捕まえようとしても手が届かない。もし、手が届いたとしても、きっとあれはあたしたちの手から…握り締めた指の隙間から、逃れていくような不確かなものなの」

言いながら、自分でも驚いていた。
今まで考えても考えてもわからなかったことが、言葉にすることでストン、と胸の中に落ちてくる。

「手を伸ばしても届かない代わりに、見上げればいつでもそこにあるし、時には強い日差しから守ってくれたりもするの。それに、あれは…誰のものにもならないでしょ?」
「だから…いいの?」
「ええ。だって、…きっと、シカマルはもう誰かを本気で愛することはないもの」
「え?」
「これから先もきっと、生きている人の中であたしのことを一番に想ってくれるわ。だって、そういうヤツだもの。だから、あたしも安心してシカマルを好きでいることができるの」
「…生きている人の中では?」
「そうよ。シカマルが…すべての人の中で、一番に想う人は、別にいるの。それでもかまわない。あたしも、その人のことがすごく好きだったし、それに…今、生きてシカマルのそばにいるのはあたしだもの。ねえ、それってすごいことでしょ」
「…そうね」

サクラは釈然としない顔で、それでも少しだけすっきりした顔で部屋を出て行った。

部屋に一人残ったあたしは、思い出す。

シカマルが、心から幸せそうに笑っていた日のことを。
Thu 23 , 23:37:56
2007/08
中世の土地制度について、イマイチよくわからなかったので先生に聞いてみました。忘れないうちにちょっとメモしておこーっと。


えーっと、まず、守護と国司の違いについて。
両方とも、ひとつの国に一人派遣されます。
守護は幕府から任命され、国司は朝廷から任命される。
国司はその国の農民たちから税を取るけれど、守護はとらない。
じゃあ、守護はただ働きなのか?
結論から言うとそうなのかもしれない。
ただ、彼等は彼等で土地を持っていて、そっちからの収入で十分生活できるからあんまり問題はないみたい。
仕事の違いで言うと、国司は税の取立てとか政治方面で、守護は警察隊みたいなもの。大犯三カ条とかあるよね。
ついでに、地頭も警察みたいなもの。治安維持が目的。田舎武士で、こっちは税を集めて上に持っていくわけなんだけど、そこから自分の分もちょっともらってるみたい。土地の管理人みたいなものかな?

あ、そうそう、国衙領と荘園の違い。
大雑把に分けてしまえば、荘園は私有地で国衙領は国の土地。
国司は、国衙領に対して支配権はあるけれど所有権はありません。4年で任期を終えて帰っていくしね。
荘園は、主に貴族の私有地。これは、寄進がはやってた時代だし、大寺社や上級貴族が多いかな。それに対して、国司も貴族は貴族だけど中流貴族が多いの。だから、都での身分で言えば荘園領主の人たちの方が国司よりもえらいことになる。
でも、ここらへんが複雑でして、荘園の持ち主はその貴族たちだけど、その荘園は国にあって、国の支配権は国司にあるもんだから、その国においては、国司である中流貴族たちのほうがえらいことになっちゃう。とは言っても、荘園領主たちは、たいてい都にいるんですけどね。
で、荘園の人たちは、もちろん荘園領主に税を納めなくちゃいけないわけですが、じゃあ国には納めなくてもいいのかといえば、そういうわけでもない。ちゃんと国にも納めなくちゃいけないわけですよ。
でも、それって荘園領主にしてみれば面白くないですよね。国に納める文だけ、自分が取れるぶんが少なくなっちゃう。んなもんですから、頑張って不輸の権、つまり税を納めなくてもいいよ、っていう権利をもらえるように頑張るんですよ。で、その権利を認められた荘園のことを「官省符荘」とか「免田」とか呼ぶらしい。そうなると、手出しができないからみんなその権利を手に入れようと躍起になってたんだろうね。

とまあ、とりあえずはこんな感じかなぁ。
Wed 22 , 00:03:20
2007/08
それぞれの権力の維持の仕方。


まずは、藤原氏。
とりあえず、中臣鎌足が中大兄皇子と仲がよかったおかげでスタート地点から他より有利。持つべきものは権力者と仲のいい先祖。

ですが、まだ安心はできません。
とりあえず、邪魔者は排除しましょう。というわけで、他の有力一族を次々とどかします。842年承和の変から始まっての969年の安和の変でとりあえず、他氏排斥終了。

で、邪魔する一族がいなくなったら、今度は一族内での権力争い。そして最終的には藤原道長が栄華を極めます。娘を次々に入内させて、外祖父として権力握る。彼の娘は3人も天皇に嫁入りしています。一家四后なんて、他にないんじゃないかな。で、うかれて呼んだ有名な歌。

この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることの なしと思えば

うわー…すげぇこと言ってるよ。このおじさん。


で、次は平氏ですね。
邪魔な源氏を排除したあと、平氏の人々は栄華を極めます。
「平家に非ずんば人に非ず」
なーんて、こっちもこっちですごいこと言ってます。
平氏は、自分の一族はけっこう大切にしているイメージかな。
だって、自分の一族を高位高官につけてるし。
で、ついでに清盛は自分の娘を高倉天皇に入内させて、安徳天皇を手に入れて外祖父として…って、これって貴族の発想ですよね。武士なら、もっと武士らしいやりかたをしてほしかったなぁ。


源氏は、一族内での紛争がたっぷり。藤原氏の内紛って、もちろん殺した例もあるけど、殺さずに遠国へ配流してることのほうが多い気がします。でも、源氏は一族内で殺しあってますよ。平氏と違って、一族を大事にしてるイメージはないな。それよりもむしろ、主従関係のほうに重点を置いてる感じがします。
特に頼朝。義仲やら義経やら殺してます。ついでに言えば、義仲の父は頼朝の兄に殺されています。でも、「ご恩と奉公」なんて、御家人は大切にしてる。
で、最終的には三代将軍実朝が甥っ子の公暁に殺され、源氏は三代で潰えた、なんていわれるわけですね。


源氏を受け継いだのは北条氏です。でも、北条氏って本当は平氏sideなんですよねー。でもまあ、うっかり政子さんが頼朝とくっついちゃったおかげで、真っ先に平氏を裏切るわけですが。持つべきものは将来性のある夫を選ぶ娘ですか。
彼等は、他氏排斥タイプですね。もともと北条氏は御家人でしかありません。それが、政子さんが頼朝の奥さんだった関係でまあ、他の御家人よりはスタートがいいわけですよ。それで、そのまま突っ走って。気がついたら、執権政治なんてやってました。他の御家人にしてみれば、非常に面白くない状況ですよね。というわけで、有力御家人は反乱を起こしたり、言いがかりをつけられて倒されたりなんかしているわけです。鎌倉末期で生き残ってたのは、足利氏くらい。だから、尊氏さんが挙兵しなかったら遅かれ速かれ足利もつぶされてたと思うな。だって、足利氏って源氏の棟梁になるわけだから…キケンで厄介な存在だったと思いますよ。
将軍を天皇にたとえるなら、執権は摂関なわけですよね。んでもって、時頼以後の得宗専制政治…ようするに、それまでは執権が権力を握ってたわけですが、執権を退いても、得宗(=北条氏の家長)が権力を握り続けるわけ。あれ、これって何かに似てるよね。そうです、院政ですよ!



こんな感じで、それぞれに権力の維持の仕方があるわけなんです。
どの方法が一番よかったか…なんてことはわかりませんが、どの方法にしてもいろんな人の恨みをかってそうですよね。権力を手に入れるってことは、他の人を押しのけるってことだから、それはしょうがないことかな。
だから、大事なのはきっと権力を手に入れた後なんですよ。でも、あんまり栄華が続いていると、それが当たり前になってきちゃうから、どの一族も滅ぼされていくんだ。…いや、摂関家はその後も続いてるけどね。
Fri 17 , 22:56:00
2007/08
日本史のオベンキョウをしてて、いろいろ思ったんで書いてみます。…こうやって考えると勉強というよりも趣味に近いんですけどねー。

平家は武士のくせして貴族的過ぎる。

源氏は一族内での紛争が多すぎる。で、『そして誰もいなくなった』(by アガサ・クリスティー)な展開です。

北条氏は、なんか漁夫の利的なイメージ。とりあえず、みんな名前が似てるんでキライです。

足利さんは、なんていうか…あんまりかっこいいイメージがないんで好きじゃない。最後のほうとか、将軍の存在感ないし。

徳川さんはなぁ…。織田信長が好きなので、竹千代が人質時代に若かりし日の信長に憧れてたらいいな、というドリームは抱いております。長く続いた幕府だけど、やっぱりみんな名前が似てるのがうっとうしいです。


で、話はだいぶ変わりますが、今日のテーマは「源氏の男と彼等を愛した女」。偏見と妄想たっぷりで、思い切り趣味に偏っております。

私は、源義仲(木曽義仲とも)と巴御前の関係が、すごく好きなんです。
義仲の正妻ではなかったけれど、最初から最後までずっと一緒に戦場を駆けた人です。巴御前。幼馴染で恋人で、兄妹のようでもあったでしょう。
山深い木曽で育った義仲は、乱暴でがさつで、京の人々には受け入れられませんでした。でも、木曽で共に育った仲間たちは、最後まで義仲を裏切らなかった。特に、巴御前と今井四郎兼平(巴御前の兄ですね)は、本当に、義仲のことを心から慕っていたと思うんです。源氏の血筋の人だから、というわけではなく「木曽義仲」という人を、心から愛していたと思うんです。
だって、巴御前は女の人ですが最後の戦いまでずっと、義仲の隣で戦っていた。兼平は、義仲が討ち取られたときに「ああ、もう守るべき人もいなくなった」って躊躇いなく、刀を口に含んで自害するんです。
義仲の父親は、頼朝の兄によって殺されています。義仲は、頼朝の命をうけた義経たちに討たれました。同じ血をもつ者たちは彼を傷つけてきました。でも、木曽で共に育った彼等は決して義仲を傷つけなかった。それだけは、きっと確かでしょう。
ずっと義仲の隣で戦っていた巴御前は最後の最後に「おまえは女なのだから、どこへでも逃げてゆけ」と言われてしまいます。巴御前がいやがっても義仲の決意は固く、決して言を翻そうとはしません。そして、巴御前は「最後の働きを」と、敵の首をひとつ落として、鎧を脱ぎ捨てて戦場を去っていきます。共に死にたいと願うのが愛ならば、生きていてほしいと願うのも愛です。でも、ずっと一緒に生きてきたのに最後の最後に男と女と言う理由で拒まれた巴御前は、きっと悔しくて悔しくて悔しくて、それでもやっぱり義仲が愛しくて、義仲の気持ちもわかるから憎むことも怨むこともできなくて、忘れることもできなかったと思います。


源義経は、人気がありますよね。悲劇のヒーローって感じで。しかも、美形だったとか。いや、不細工だったという説もありますし、真相は定かではないんですが。
彼にも、武蔵坊弁慶と静御前がいた。弁慶は、本当に最後の時まで、義経を守り続けます。義経が自害するためにこもった寺の前に立ちふさがり、一人で追っ手を引き受け、義経が静かに自害できるように守り続けます。矢を何本もその身に受けて、それでも決して倒れることなく追っ手の前に立ちふさがり続けました。
静御前も、彼女は戦場に立つことはありませんでしたが、義経が頼朝に追われる身になっても変わらずに彼を一心に慕い続けます。白拍子は、権力者に取り入って寵を受け、そして安定を得るのが慣例のその時代に、落ち目になって明日の命も知れない義経を思い続けた静御前。逃げ延びる途中で、彼女は追い返されてしまいます。要は「女は足手まといだから」ってことなんですよね。でも、義経は確かに静御前を愛していたと思いたいです。
だって、静御前は義経のことを本当に、愛していたから。
静御前は頼朝の手のものにつかまり、捕らえられます。失意に嘆き悲しむ静御前に、頼朝は鶴岡八幡宮に舞を納めよと要求し、彼女はそれを受けます。
そして、頼朝の目の前で義経を慕う歌を堂々と歌い、舞った。

吉野山 峰の白雪 踏み分けて いりにし人の あとぞ恋しき
しづやしづ しづの苧環 繰り返し 昔を今に なすよしもがな

当然のように頼朝は激怒しますが、政子がとりなし、事なきを得ます。
が、その数ヶ月後に静御前は義経の子を産みます。その子は、男であったがゆえに、生まれてすぐにとりあげられ、由比ガ浜へ沈められました。

源頼朝は、正直あんまり好きじゃない。
だって、平家滅亡に関してこの人って全然何もしてないじゃん。実際、義仲と義経がいなかったら平家をつぶせなかったと思います。でも、源氏の棟梁だからね。血筋がものを言う。
なーんて、ぼろくそに書いていますが、それでも清盛の異母弟を助けたりしてます。彼の母親・池ノ禅尼に、命を助けられたから。だから、その恩を忘れずに、その子・平頼盛を助けた。だから、平氏滅亡…とはいうものの、清盛の弟…だから、血筋を見れば平家のエリートである彼はその後も生き続け、彼の子孫は未だ健在です。
頼朝の最大の幸運は、政子がいたことだとは思いますが、彼女は嫉妬深い女性だったらしいので、男としてはありがたくないでしょうね。
ま、彼女がいなければ頼朝は征夷大将軍になれなかっただろうと思っております。
でも、政子本人はどうなんでしょうね。頼朝のことが本当に好きで、駆け落ち同然に結婚して、子どもを生んで。幸せだったのは、ここまでかもしれない。だって、彼女の子どもたちは、悉く彼女よりも先に死んでしまうから。政子の父である北条時政が長男の頼家とその長子の一幡を殺したし、次男の実朝は頼家の二子である公暁に殺される。政子はきっと、気の強い人だっただろうと思います。でも、これはひどすぎる。愛した者たちを次々に見送った彼女は、何を想ったのでしょうか。

今挙げた源氏の男たちは、愛した女をおいて逝ってしまいます。残された女は、みなその後も長く生きました。
それは、きっと自分のためではなく、愛した男のためであったのだろうと思います。
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
フリーエリア
最新CM
[03/05 ・・・。]
[01/12 たっち]
[10/31 たっち]
[09/28 たっち]
[12/26 merange]
最新TB
プロフィール
HN:
性別:
女性
職業:
学生
趣味:
読書、昼寝
自己紹介:
更新はまったり遅いですが、徒然なるままに日記やら突発でSSやら書いていく所存ですのでどうぞヨロシク。
バーコード
ブログ内検索
徒然記 (c)静
template design by nyao
忍者ブログ [PR]